自然を育み・自然を守る、桜丘
経堂から桜丘に向かって伸びる長いメイン商店街が「ハートフル農大通り」です。
ハートフル農大通りの先には、その名の通り桜丘を代表する施設「東京農業大学」があります。
東京農業大学は、「稲のことは稲に聞け、農業のことは農民に聞け」という初代学長の言葉の元に、実学主義を理念とする農業大学です。
東京農業大学に併設する「食と農の博物館」では、その東京農業大学で培ってきた教育と研究の成果を発信しているといいます。
そのコンセプト通り、こちらの博物館は常設展も楽しいですが、何より期間限定で行われている展示会やイベントが面白いです。
展示会やイベントで発信される内容は、現代農業に携わる者へのヒントやアイデアに溢れています。
また桜丘では、自然を守る試みも行われています。
それが行われているのが「桜丘すみれば自然庭園」です。
すみれば自然庭園では、武蔵野の風景を再現するという試みが行われています。
そのために「世田谷すみればネット」という地域住民のボランティア組織が結成され、すみれば庭園の生物調査や管理作業を担当して行っているといいます。
桜丘すみれば自然庭園では、3月の下旬ごろから5月上旬まですみれの花を楽しむことができます。
せたがや地域風景資産には「心なごむ桜丘の原風景」が登録されています。
その原風景を残している場所のひとつに、宇山稲荷神社があります。
この宇山稲荷神社も、桜丘の住民が大切に守り続けている原風景です。
神社の境内には小さな社殿を守るかのように、松やケヤキなどの高い木々が乱立しています。
また宇山稲荷神社には久成院というお寺も隣接しています。
宇山稲荷神社と共に、この地域一帯に住む住民たちが大切に守り続けてきたお寺です。
そんな桜丘地域には「地域力を生かした人づくり」を目指すNPO法人「世田谷桜丘まちづくり」があります。
この団体の面白い取り組みが「わんわんパトロール」です。
なんと防犯活動に、犬を巻き込んでの取り組みが行われているのです。
わんわんパトロールの際には、自宅で飼っている犬にパトロール用の黄色いバンダナを巻くだけ。
パトロールといっても、普段の散歩とさして変わりません。
散歩中に不審人物を見つけたら、110番通報を行うだけです。
しかし一人で行うパトロールよりも、愛犬と一緒にパトロールするのであれば何かあっても少し?は安心です。
桜丘は、自然や街づくりにおいて「守ること」や、「自然を楽しみながらも、次世代に引き継いでいく」という根本的なことを大切にする地域だといえそうです。