お知らせ
-
洗口液について
みなさんこんにちは!昼間と夜の気温差があり本格的に寒くなってきましたね。コロナウイルス、インフルエンザなどもまた増えてきているみたいので手洗い、うがい、アルコール消毒をしっかり行って予防しましょう。さて今回のテーマは 『洗口液』 についてです!みなさん普段洗口液は使っていますか?この呼び方よりは、『マウスウオッシュ』 などと言ったほうが馴染みのある方も多いかもしれないですね!そのなかで私たちが薬局やスーパーなどで一般に購入できるのは、「医薬部外品」「化粧品」で、さらに「医薬部外品」「化粧品」に分類される洗口剤を、その用途から見るとまた2つにわかれます。①口に含んでゆすいだあと吐き出す洗口液②いわゆる歯みがき剤と同じように使用する液体歯みがきです。パッケージにはどちらか書いてありますが、よくわからないっていう方も多いようです。今回は特に洗口液について詳しく説明していきます!・『洗口液』とは主に、お口の細菌を殺菌する為や、口臭を抑えるために使用します。歯磨きだけでは、歯と歯の間の汚れは除去しにくいので、洗口液を使用することで歯の隙間に浸透し、効果が得られます。なので歯磨きの後の仕上げに洗口液を使用すると良いです! 洗口液を使うと口の中に爽快感がひろがり、歯の表面もつるつるして、歯みがきの代わりになるような感じがします。しかし、実際は歯と歯の境目や歯と歯茎の間に溜まったプラーク(歯垢)は、ブラッシングをしないと取り除くことが出来ません。洗口液はあくまで、ブラッシングの補助的役割だと考えてください。補助的役割と言っても歯みがきと併用することで、予防効果が期待できます!・洗口液の使い方ブラッシング後に適量(10~20ml)を口に含んでクチュクチュすすぎます。マウスウォッシュをなるべく全体に行き渡らせることが、使用効果を高めるポイントです!またマウスウォッシュを口に含んですぐに吐き出してしまうと洗口液が薄まって効果が落ちてしまいます。15秒から30秒ほどゆすいでから吐き出すようにしましょう。そしておすすめの使用する時間帯は、就寝前の使用です。寝ている間は唾液の分泌が少なくなり、細菌が繁殖しやすい環境になるからです。朝起きたとき、口臭が気になる方や口の中がネバネバするような方も使ってみてください!・洗口液の選び方歯周病や口臭の予防には、殺菌作用、消炎作用、歯石沈着防止作用などの成分を含んだものを使うとよいでしょう。口臭の主な原因である歯周病菌を殺菌したり、プラークが歯に付着しにくくします。虫歯予防に効果があるのは、フッ素成分が含まれる洗口液です。フッ素は、歯の再石灰化を促進する効果や歯の表面のエナメル質を強化する効果があるので初期虫歯に有効的です。またお口の中に口内炎などの炎症がある人は低刺激なノンアルコールタイプを選ぶようにしましょう。アルコールには、口臭の原因菌を殺菌する働きもありますが、大部分は清涼感が得られるというメリットのために配合されています。そのため、アルコールによるピリピリとした刺激が苦手な人やお口の中にに炎症がある人は、無理をせずに刺激の少ないノンアルコールタイプを選ぶと良いです。洗口液には様々な成分が配合されているのでパッケージの記載をチェックしてご自身にあったものを選んでみてください! 洗口液は手軽に使用できるので、歯みがきに加え、普段のエチケットとして使用するのもよいでしょう。最近はお口の健康を気にかける方も増えてきて、口腔ケア製品も多様になってきました。正しい使い方を守って、お口の健康を保ちましょう!ホームケアに関しても何か分からないことがあれば私たち歯科衛生士や歯科医師に気軽にご相談くださいっ!DH池田
-
歯科治療と金属アレルギー
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 金属が体に触れると、皮膚炎などのアレルギー反応を起こすことがあります。 これを 『金属アレルギー』 といいます。 よくあるのが、装飾品(ネックレス・ピアス・イヤリング・指輪・腕輪など)によって皮膚がかぶれる症状です。 皮膚炎以外にも頭痛や肩こりなど、全身に影響が出ることもあります。 この金属アレルギーですが実は歯の治療などで使用するため、治療によって金属アレルギーが出てしまう場合があります。 1 お口の中の金属アレルギーはどうして起こるの? 金属が口の中の唾液に触れると、金属の表面がイオン化されます。このイオン化された金属が溶け出して体のたんぱく質と結合して変性が起きます。この変性したたんぱく質が抗原となってアレルギーが発生します。 ただし、お口の中で使用する金属の合金は含有量が厳密に日本の医療法によって定められているので、どんな金属を使用しているのかわからない安価なアクセサリーなどと比べると金属アレルギーが発生する可能性はとても低いです。 しかし、お口の中は常に水分があるために金属がイオン化されやすく、まれに金属アレルギーが発生することがあります。 2 お口の中の金属が原因のアレルギー症状は? お口の中の症状として代表的なものは、口内炎や歯肉炎です。他にも口唇炎、舌炎、味覚障害があります。 全身的には、湿疹、頭痛、肩こり、めまい、免疫障害などがあります。 3 歯科で使われている金属にはどのようなものがあるの? 一言で歯科用の金属といっても様々なものがあります。 一番オーソドックスなものは、金銀パラジウム合金という健康保険が適応されている合金で、いわゆる 『銀歯』 となります。 虫歯治療のあとの詰め物やかぶせ物、ブリッジに使用されます。 ほかにもかぶせ物の中に使われる土台(コア)に使われる、 『銀合金』 があります。 さらに保険外治療で使われる、 『白金加金合金(プレシャスメタル)』 があります。 他には歯に使うものではありませんが、失った歯の代わりの治療でインプラントに用いられる、純チタンやチタン合金、入れ歯のバネや保険外の入れ歯に用いられるコバルトクロム合金・チタン合金があります。 また矯正治療でもワイヤーや歯を動かすためにあごの骨に直接打ち込むネジに金属が使われています。 外科処置においては、交通事故で顎が砕けたり、変形症の手術時に固定用の金属製のボルトを使用します。 これらは口の中というより、骨に直接固定して埋め込むために、人工関節と同じで金属アレルギーが一番少ないチタンを使用します。 また、以前は虫歯治療には、水銀をほかの金属と混ぜて使用していました。 これを 『アマルガム』 といい、70年代から80年代にかけて樹脂による治療方法がなかった時代に、簡便で安価な治療方法として多用していました。(正式名称は『歯科用水銀アマルガム』 といいます) アマルガムは、銀とすずの合金に水銀混ぜてを、それを専用の撹拌機で混ぜあわせます。 すると金属が粘土状になるので、それを虫歯を取り除いた隙間に詰めていきます。 その後は1日たつと硬化するので、後日高さを調整して表面を磨いて完成となります。 実際には診療所では後日の調整はせず、詰めて終了にするのがほとんどでした。 アマルガムは数年前まで健康保険適用の治療方法として使用が可能でしたが、さすがに使用不可になる直前ではアマルガムで治療している歯科医院はあまりなかったようです。 アマルガムに使用されているのは無機水銀(炭素を含まない水銀)で、過去に公害病の一つであった水俣病の原因の有機水銀(炭素を含む水銀、この場合はメチル水銀)ではありません。 この無機水銀ですが、直接すぐに体調不良になることがなかったので、大問題にはなりませんでしたが、実際には長年にわたって水銀が溶け出して腎臓や肝臓に蓄積されて健康被害をもたらします。 具体的にはアトピー様皮膚炎や味覚異常、精神疾患(イライラや不眠など)の原因になったりします。 4 歯の治療方法は何を選べばいいの? 人の体の中でも歯という組織は再生されないため、虫歯になってしまったら削って人工的な素材で補う必要があります。 しかし奥歯では噛む力に耐えられるような強度が必要で、そのため今でも金属が歯の治療に使用されています。 噛むのに耐えられない素材だとすり減ったり取れたりして、お口の全体のかみ合わせがくるってきてしまいます。 そうなると元に戻すことは非常に困難で、将来お顔の形が変わったり、ほうれい線が深くなってお年寄りの顔つきになったり、慢性の頭痛、肩こりが起きるようになってしまいます。 このような理由から当院では、すり減る可能性のある樹脂は奥歯の噛むところには使用しておりません。 健康保険での治療では、当院では安全面での基準を満たしている金銀パラジウム合金を使用しています。 なお、一番安価な銀合金も健康保険で認められておりますが、当院では土台に使用する以外は黒変したりすり減る可能性が高いので、つめ物やかぶせ物としては使用していません。 健康保険外での治療では、白金加金合金を使用した治療があります。 見た目はやや金色がありますが、合金の硬さが歯に近く、また錆びることがほとんどないので、治療したのにまた虫歯になる、いわゆる2次虫歯の発生を抑えることができます。 また近年は、固いが衝撃にもろかった 『セラミック』 が改良されてとても頑丈になり、審美の改善からも多用されるようになりました。 当院では保険外治療では実際は白金加金合金はほとんどなく、皆さんセラミックによる治療を選ばれています。 またセラミックを使用すると、審美の改善だけでなく材質の劣化やしみたり、2次虫歯の発生もほとんどないためおすすめしております。 さらにセラミックの詰め物やかぶせ物は、専門の知識と技術を持った歯科技工士さんが一つ一つ丁寧に作成しています。 セラミック治療はどうしても費用が掛かるのですが、長期的にみると保険治療の金属や樹脂よりもずっと長持ちするため、結果的には満足感があったりお得になる場合があります。 セラミック治療はアトピーや花粉症などのアレルギーがある方にもおすすめです。 なお、もしも昔の治療で水銀を使用したアマルガムがお口の中にある場合は、痛みがなくても健康被害の原因になるため、ほかの歯科材料に置き換えることを強くお勧めします。 歯は一生使う自分の大切な体の一部です。 虫歯になってしまったら治療が必要ですが、残念ながら歯を再生する治療方法はありません。 歯科医師や歯科衛生士とよく相談の上、いつまでも健康で美しい歯を手に入れて豊かな人生を手に入れてください。
-
虫歯になりやすい習慣をやめよう
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。お口の二大疾患は、『虫歯』 と 『歯周病』 です。最近は歯周病について何回か説明していきました。今回は虫歯について、どのような生活習慣が虫歯になりやすいのかを説明していきます。1 虫歯はどういう状況でできるのか? 虫歯は主に3つの要素が重なると発生します。3つの要素とは、『細菌』 『栄養』 『環境』 です。まず 『細菌』 ですが、虫歯は虫歯菌によって歯が溶けていきます。ですから理屈上は虫歯の菌がお口の中に存在しなければ虫歯にはなりません。しかし残念ながらどんなに歯をしっかり磨いても、歯科医院できれいにしても虫歯菌をゼロにすることはできません。『栄養』 に関しては、おもに砂糖などの糖分が口腔内に残っていると虫歯になりやすいです。虫歯菌は糖分を栄養素として、食べかすみたいに見える 『歯垢』 を作ります。虫歯菌が出す酸によって歯が溶けてしまうのです。そのため、甘いお菓子やアイスクリーム等は食べすぎに注意しましょう。また、炭水化物も砂糖と同じで糖に変わります。そして炭水化物は歯と歯の間や歯と歯ぐきの間に残りやすく、砂糖以上に虫歯になりやすいので要注意です。『環境』 はお口の中がどういった状況かということです。歯の硬さが柔らかい、唾液が少ない、口呼吸をしている、歯並びが悪いなどといった状況では虫歯ができやすくなってしまいます。2 虫歯になりやすい人の生活習慣虫歯になりやすい人には、似たような生活習慣があります。もしも、「いつもちゃんと歯を磨いているのにすぐ虫歯ができる」 という人は、下記に当てはまると考えられます。【 虫歯になりやすい人の生活習慣 】1 コーラなどのジュースやお菓子が大好き2 朝昼晩の食事以外に、しょっちゅう間食をする3 寝る前に甘いものを食べたり、お酒を飲む4 夕食後や寝る前の歯磨きはしない甘いものが好きな人は、あまり甘いものを食べない人よりも虫歯になりやすいです。虫歯菌の餌となる糖分が多ければ、どうしても虫歯にはなりやすくなってしまうのです。また、シンプルなチョコレートよりもビスケットなどのほうが、お口に残りやすいので要注意です。さらにお菓子でなくても炭水化物もお口に残って虫歯菌の餌になってしまいます。炭水化物の塊である白米、パン、麺類等はだらだらと食べないようにしましょう。次に間食ですが、過度な間食によって歯が溶けたり虫歯になりやすくなってしまいます。お口の中は通常酸性度が中性に保たれています。これが食事をすることで酸性になります。酸性になってしまうと歯が溶けてしまいます(脱灰)が、溶けだしたリン酸カルシウムの代わりに唾液の効果で歯がまた再石灰化して修復されます。間食が続くと、お口の中が酸性から中性に回復することができず、歯が溶けたままになってしまい最終的に虫歯になるのです。就寝前の糖分の摂取は、虫歯菌を大量に発生させてしまいます。寝ている間は唾液の分泌量が少なくなったり、口を開けているため乾燥して食べかすが洗い流されず、歯の再石灰化もされにくくなっています。そして朝起きるまでに、ネバネバとした歯垢が歯にべったりと付着することになります。この歯垢が大量に発生する就寝時に備えて、寝る前には歯を磨くようにしましょう。寝る前に歯を磨くと、翌朝に起きた時もお口の中がさっぱりとしてとても気持ちがいいですよ。3 生活習慣を見直して虫歯を予防しよう!虫歯を予防するには、歯を磨くことが一番大切です。しかし歯磨きだけでなく規則正しい生活習慣を送ることで、歯が弱い人でも虫歯の発生を抑えることができます。また3ヶ月に一度は、歯科医院に検診に行きましょう。どんなにていねいに歯を磨いても、すべての歯垢を取り除くことはできません。この歯垢は3ヶ月を過ぎると歯磨きをしても取れない歯石になってしまいます。歯石は虫歯だけでなく、歯を支えているあごの骨を溶かしたり歯ぐきが腫れ上がる歯周病の原因になります。歯科医院で歯垢と歯石を取り除き、歯磨き指導を受けることで、一生自分の歯を残すことも可能になるのです。また、万が一虫歯ができても最小限の治療で済むことができます。歯は自分で修復することができない組織です。そのため治療をすることで、自分の歯がどんどん少なくなってしまいます。虫歯にならないように規則正しい生活習慣と定期健診で、いつまでも健康でいられるよう自分の歯を守りましょう。
-
フッ素に関するQ&A
みなさんこんにちは。最近段々と冷えてきましたが体調はいかがですか?冬はインフルエンザなども流行ってきますので、健康管理気をつけましょうね。歯科医院では、虫歯予防に 『フッ素』 を塗布します。今回はフッ素に関して普段の診療中にいくつか質問を受けるので、みなさんにご紹介しますね。Q 虫歯予防にフッ素が効果あると聞きますが、いつ頃から塗布したらいいですか?A フッ素は生えたての歯のほうが取り込まれやすいので、乳歯の上下前歯が生えてくる1歳頃から塗布し、その後は3ヶ月〜4ヶ月ごとに塗布していくと良いでしょう。歯科医院で塗布するフッ素は、高濃度のフッ化物が使われています。定期的に歯科医院での口腔管理を行いながら、歯の萌出状態などをチェックしフッ素を塗布することをオススメします。Q フッ素はどのように塗るのですか?A 綿棒やトレーやうがいなどの方法があります。フッ化物を塗布する方法として、いくつかあります。綿球や綿棒に高濃度フッ素のジェルを付けて歯面に塗布する方法や、歯ブラシの毛先にフッ化物を付けて歯面に塗布ふる方法があります。既製のトレーを使い、泡状や溶液状のフッ化物をトレーに入れて口腔内にいれる方法もあります。フッ素を歯面に直接塗布する以外にも、フッ化物の液体の洗口剤で口中をうがいする方法もあります。洗口剤を使う場合には、ブクブクうがいが確実に出来たり、理解や協力を得られる4歳以上の子供が適応になります。フッ化物の洗口剤は、萌出直後の歯質の成熟を助け、脱灰した歯質の再石灰化を促進するので、4歳頃から14歳頃まで継続を推奨しています。矯正装置を装着している方にもフッ化物洗口剤はオススメです。矯正装置がついていると、磨き残しをなく歯磨きするのが難しく、虫歯になりやすい場合もありますので、フッ化物を使ってケアをすると良いかとおもいます。Q フッ素は市販されていますか?A 様々な成分や形状のフッ素製品があります。市販されてる歯面塗布用のフッ化物は、フッ化ナトリウムか、リン酸酸性フッ化ナトリウムがあります。剤形としては、ジェル状や液状、泡状など様々な種類があります。ジェル状のものがお子さんには使いやすいかなと思います。また歯磨きや、仕上げみがきが終わったあとに、歯ブラシにジェル状のフッ化物を付けて歯面に塗ってあげるのも良いかと思います。Q フッ素を塗るときの注意事項はありますか?A 使用量を守る必要があります。また副作用が出る場合があります。フッ化物を使うにあたって注意しなければいけないことがあります。1度に過度のフッ素を摂取しないようにしてください。フッ化物を応用したことによる副作用がでる可能性があります。主な副作用は 『急性中毒』 と 『アレルギー』 です。吐き気や腹痛の症状がでたりする場合があるので、用法と容量をしっかり守ることかとても大切です。ただ、フッ素はもともと食品(魚の皮や骨、お茶、海草などに多い)や、飲料水中にも含まれている微量元素ではあるので、恐れるものではありません。特に市販されているフッ素製品を適切に使用すれば、安心かと思います。Q 市販されている製品中のフッ素の濃度はどれくらいですか?A 2020年10月現在、1,500ppmが上限となっています。従来では、市販されてる歯磨き粉のフッ素濃度の上限は1,000ppmとされていました。しかし2017年3月に厚生労働省よりその上限を1,500ppmに引き上げられました。成人向けの歯磨き粉のcheckupや、クリニカ、シュミテクト、クリアクリーンなど、市販されてる歯磨き粉の中に高濃度でフッ素が入ってるのがありますので、ぜひ使ってみてくださいね。フッ素を塗布したあとは、30分間はご飲食は控えた方が効果あります。このようにフッ素は虫歯を防ぎ歯を強くする効果があるとても有効なツールです。しかし虫歯予防にはまず歯ブラシをていねいに行い、磨き残しをなるべく少なくしているのがとても大切です。そのうえでフッ素を塗布して虫歯を防ぎましょう。そして、定期的な歯科医院での検診もして、虫歯の早期発見と早期治療を心がけましょう。DH大久保
-
喫煙は歯周病を悪化させる!!
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回は喫煙、タバコを吸うことがお口の健康にいかに悪影響を与えるのかを説明していきます。 今ではタバコが健康に良い、または影響がないと考えている人はほとんどいないでしょう。 歯科治療においても喫煙の有無はとても重要です。 重度の歯周病を罹患している方の喫煙率はとても高いです。 ではなぜタバコを吸うと歯周病になったり悪化するのでしょうか? まずは歯周病について解説していきます。 1 歯周病とは? 歯周病とは歯垢・歯石の中の歯周病の原因菌によって歯のまわりの歯ぐきが腫れて、出血や痛みや膿が出て歯周ポケットが深くなり、最後には歯を支えている顎の骨、歯槽骨が溶けて歯が抜けてしまう病気です。 歯周病は歯を失う最大の原因で、50歳半ばより急速に広がっていきます。 歯周病の中期までは痛みを伴わないので自分が歯周病だとは気がつきにくく、50歳代半ばで痛くなって膿も出てぐらぐらし始めたときはすでに手遅れになっていて、もはや抜歯しか選択肢がないということになってしまいます。 この成人の80%が罹患しているといわれている歯周病ですが、実は喫煙率が大きく関係しています。 タバコの中に含まれているニコチンの血管収縮作用により、歯肉の隅々に酸素がいきわたらなくなり、免疫作用が大きく低下します。 すると細菌感染が起こりやすくなり歯周病になってしまうのです。 タバコを吸う人の歯周病罹患率は、非喫煙者の3倍です。 また、歯を失う確率も、タバコを吸わない人の2倍となっております。 2 喫煙と歯周病の関係 タバコを常用している人は、吸わない人に比べるとニコチンの血管収縮作用により血液の流れが悪くなります。 すると歯肉に栄養がいきわたらなくなります。歯周病菌と戦う白血球の数も減ってしまいます。 さらに、歯周病菌によってダメージを受けた歯肉と骨の修復が働かなくなります。 この悪循環によって歯周病菌がさらに繁殖します。 そして通常は歯ぐきが腫れると、出血して気が付くのですが、タバコを吸っているとニコチンの強力な血管収縮作用で出血が抑えられてしまいます。 そのためタバコを吸っていると、歯周病の初期から中期の段階では出血が抑えられてしまうため、自分が歯周病になっていると気が付かないのです。 歯周病の怖いところは、重症化していよいよ抜歯というところにならないと症状が出にくいところです。 つまり、歯茎がはれ上がり、ぐらぐらして物が噛めないというところになって、ようやく気が付いても遅いのです。 そして重度の歯周病の方の喫煙率はものすごく高いのです。 3 喫煙は万病のもと 昔は、タバコの害といえば肺がんで、しかも吸いすぎなければ大丈夫という認識でした。 タバコのパッケージには、『健康を損なう恐れがあるため、吸いすぎに注意しましょう』 といった、なんともあいまいな文章が側面にあるでした。 日本の政治家は異常に喫煙率が高く、厚生労働省の出す禁煙に関する法案をことごとく握りつぶしてきました。 しかし2020年東京オリンピックのおかげもあり、ようやく日本でも禁煙に関してかなり改善してきました。 それでもコンビニで手軽に買えたり、派手なポスターや雑誌の宣伝が認められていたり、基準を満たせばレストランでも喫煙可だったりまだまだ禁煙に関するルールは不十分ですが、数年前までに比べればだいぶましになりました。 ただし残念ながら今でもJT、日本たばこの最大の株主は日本政府です。ということは、、、完全禁煙の道は遠いのが現状です。 タバコがいかに心身ともに有害かということが分かってきたおかげで、年々喫煙率は下がっております。今では成人に占める喫煙率の割合は14%とのことです。 それでもまだ日本は喫煙率が高く、タバコのラベルにも注意書きが文章で書いてあるだけで、実際に喫煙者は見もしないでしょう。日本は残念ながらまだまだ喫煙大国なのです。 海外のタバコのラベルには、タバコのせいでできた腫瘍などのひどい写真が張り付けてあります。 その中には、重症の歯周病や舌癌、歯肉癌などの写真も数多く掲載されています。 このような写真に喫煙者の抑制効果はあまりないそうですが、若年者などの新規の喫煙者を増やさないためには効果があるそうです。 当院に通院中でまだ30代にも関わらず、かなり重症の歯周病の患者さんが何人かいらっしゃいます。そのような患者さんにタバコを吸うかお聞きすると、全員喫煙者でした。私がいかにタバコが歯周病を悪化させているのかを説明し禁煙をお勧めするのですが、皆さん苦笑いするだけです。これでは我々歯科医師と歯科衛生士が頑張って治療してもあまり歯周病は改善しません。毎月通院している方もいらっしゃいますが、なんとか現状維持です。それでも少しずつ歯周病は悪化していきます。 ちなみにコロナウイルスの感染は、歯周病と密接に関係していることが分かっています。 タバコを吸うことで歯周病が悪化して、それによって新型コロナウイルスにも感染しやすくなってしまうのです。 4 タバコを吸うのを今すぐやめよう タバコはほんとに百害あって一利なしです。 タバコはその成分の二コチンに薬物依存性がありますが、覚せい剤と違って依存の欲求はたったの8時間で消えるといわれています。(残念ながら体内からタバコの成分が抜けるには10年以上かかるそうです。) ですからタバコ依存から脱出することはだれでもできるのです。 タバコは嗜好品なので生きていくうえで必要性はまったくありません。 人類が発明した最悪の生産物は核兵器とタバコと言われています。 このような理由から、当院では健康を司る医療機関として、喫煙に強く反対します。 タバコを吸う方は今すぐ禁煙して、自分のため、家族や周りの人のために健康な生活を取り戻しましょう!
-
歯周病の原因菌となりやすい人の特徴について
みなさんこんにちは。だんだん肌寒くなってきましたね。体調にはくれぐれも気を付けましょう。今日は、『歯周病の原因菌の種類と歯周病になりやすい人の特徴』 についてお話しします。皆さん歯周病ってどんな病気かご存知ですか?歯周病とはただ歯ぐきが腫れているというだけではありません。あごの骨が溶けて、最後は歯が抜けてしまうとても怖い病気です。歯周病初期では細菌の塊、歯垢(プラーク)によって歯ぐきが炎症を起こし、歯と歯の間の歯ぐきは丸く腫れぼったくなります。更に色は真っ赤になります。歯周ポケットは4mm以内です。皆さんの中には歯ブラシをして出血してくる方もいるのではないでしょうか?それはもしかしたら歯周病の初期状態かもしれません。歯周病中期では初期症状から更に進行すると歯周ポケットは5mm~7mmまで深くなります。歯周病は骨が溶けて歯を支えきれなくなり揺れてきてしまう病気ですが、痛みがほとんどないので痛くないから大丈夫と思っていると、気づかないうちに骨が溶けていることがあります。重度の歯周病になってしまうと、歯ぐきは下がり骨が溶け歯と歯の間が目立ってきます。さらに歯がグラグラしてくるので噛み難かったり、話しづらい、口臭が気になると言ったことも出てきてしまいます。こうなるといくら歯科医院で治療しても元には戻りません。《歯周病の菌について》歯周病は様々な有害な菌が原因で発症してしまう病気です。歯周病の原因菌にはたくさんの種類がありますが、今回は特に 『red complex(レッド コンプレックス)』 と言われる最も害を及ぼす3種類を紹介します。◎porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)偏性嫌気性グラム陰性桿菌で、他の菌とバイオフィルム(歯ブラシでは取れないほどの強固な病的な膜)を作ります。更にこの菌は内毒素を持っています。この内毒素によって歯を支えているあごの骨(歯槽骨)の吸収を引き起こします。◎tannerella forsythensis(タンネレラ・フォーサイセンシス)嫌気性グラム陰性菌。紡錘状のような形をしており、同じく内毒素を持っています。 ◎treponema denticola(トレポネーマ・デンティコラ)嫌気性グラム陰性菌。らせん状のような形をしています。歯茎の隙間から血管の中に入り込みます。今紹介したのは3つだけですが、歯周病の主な菌は約15種類以上もいるそうです!歯周病の原因菌の多くは嫌気性菌という、空気を好まない菌です。歯周ポケットが深くなると空気があまりない空間が多くなり、この歯周ポケットで大繁殖してしまいます。《歯周病になりやすい特徴》歯周病になりやすい人には以下のような特徴があります。①喫煙タバコを吸う人は吸わない人に比べると歯周病リスクが圧倒的に高くなっています。なぜかというとタバコの中に含まれているニコチン、これは免疫力を低下させる作用があります。他にも血管収縮作用があるため歯茎からの出血が起こりにくいので、歯周病にも気づかないことがあります。また、唾液の分泌量も低下するため歯石やプラークがつきやすくなります。すると歯周病原因菌が繁殖して、さらに歯周病が悪化するのです。②糖尿病歯周病と糖尿病は双方で密接な関係にあります。・糖尿病→歯周病糖尿病により免疫の働きが落ち感染症に罹患しやすくなります。さらに高血糖になると炎症が強くなるので悪化しやすくなります。糖尿病の人が歯周病になると、治療もかなり困難になります。・歯周病→糖尿病歯周病により炎症性物質がたくさん作られ、インスリンの働きが抑制されてしまいます。そうなると血糖コントロールが悪くなり糖尿病になってしまいます。糖尿病になると、失明や手足の血流循環不足で壊死して切断になるリスクも出てきます。③ストレスストレスを感じていると自律神経が乱れ免疫が低下して歯周病になってしまうことがあります。歯周病の原因菌をゼロにすることはできませんが、通常は白血球などの免疫作用で病気になるのを体が防いでいるのです。しかし、ストレスが続くことで口腔内環境が悪化して歯周病になってしまうのです。これら喫煙・糖尿病・ストレスの他にも、食習慣・薬の影響・不適合なかぶせもの・肥満・遺伝なども歯周病の感染と重症化に関係があると言われています。以上、歯周病の原因菌と歯周病になりやすい人について解説をいたしました。歯周病にならないように毎日の歯ブラシやフロスと歯科医院での定期検診を徹底して、80歳まで自分の歯を20本以上残せるように頑張りましょう!ちなみに当院では、通常歯石が付いてくる3ヵ月ごとの定期健診と歯石の除去をお勧めしています。日頃どんなケアをすれば良いのかわからないなどあればスタッフに声をかけてくださいね。 DH 関
-
セルフケアの種類と方法について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。前回のブログでは、歯周ポケットを改善して健康な状態に保つには、セルフケアと歯科医院での定期的な検診が有効と説明しました。では、普段おこなうセルフケアはどうやって行えばよいのでしょうか?今回は、『セルフケアの種類と方法』 について説明いたします。セルフケアの基本は歯ブラシ虫歯と歯周病を防ぐためにまず行うことは、やはり毎日の歯ブラシです。しかし、歯ブラシもやり方を間違えると逆効果になったり、歯と歯ぐきを傷つけてしまいます。まず歯ブラシの回数ですが、できれば一日3回、通常でも2回はしましょう。歯ブラシのタイミングは、夜寝る前と朝起きた時です。夜寝ているときは唾液の用が少なくなります。すると唾液で食べかすや歯垢を洗い流す作用が減少して、細菌が大繁殖します。虫歯や歯周病の原因菌が増えることで、次第に虫歯や歯周病になるのです。口の中だけでなく、細菌を飲み込むことで体調不良になることもあります。夜寝る前と朝一番に歯を磨くことで、細菌の繁殖を防ぐことができるのです。また最近の常識として、食後すぐの歯磨きはお口に残っている食べ物が研磨剤や歯を溶かす酸として働いてしまい歯を傷つけてしまうため、しないほうがいいとされています。最低でも食後30分経ってから歯を磨くようにしましょう。「食後3分以内に磨こう!」というフレーズは過去の常識です。今では歯にとって良くないということがわかっていますので、このフレーズは忘れてしまいましょう。歯ブラシの種類ですが、基本的には毛先が細くて硬さは普通のものがおすすめです。毛先が細いほうが、前回ご説明した歯周ポケットの奥まで入ってくれるので効果的です。あまり柔らかすぎる歯ブラシは毛先がそっくり返ってしまうので歯垢が取れません。歯周病が進んで普通の硬さの歯ブラシだと痛くて磨けない、といった場合に使うようにしましょう。硬い歯ブラシは、女性など手の力が弱くて歯垢を落としきることができない場合は有効です。ただし毛先が硬いと弾力が少なくて隙間に届きにくくなります。たまに、「歯ブラシが硬くないと磨いた気がしない」 といった方がいらっしゃいますが、歯がどんどん削れて歯がしみる『知覚過敏』になってしまったり、歯の柔らかい部分が露出して虫歯になりやすくなってしまいますので気をつけましょう。洗口剤を活用しよう液体タイプのセルフケア商品には大きく分けて2種類あります。一つは歯ブラシをする前に口に含む 『液体ハミガキ』 です。液体ハミガキはデンタルリンスとも言います。これは一般的なペースト状の歯磨き粉の替わりに使用します。様々な薬用成分が歯を磨いた際に効果があります。もう一つは歯ブラシの後に使用する、『洗口剤』 です。洗口剤はマウスウォッシュと呼ばれています。歯ブラシをしてお口をすすいだ後に使用することで、口中の殺菌・消毒、口臭の防止、歯垢と歯石の沈着予防に効果があります。マウスウォッシュをした後は口をすすぐことはしません。効果が半減してしまいます。さらにどちらのタイプもアルコールタイプとノンアルコールタイプがあります。アルコールタイプは殺菌効果や清涼効果が高いのですが、刺激が強かったり口内炎や傷があるとすごくしみるため使用できません。ノンアルコールタイプは刺激が少ないので万人向けです。ただしお口をブクブクすると泡だらけになってしまうのでやや使いづらいです。デンタルフロスや歯間ブラシを活用しようどんなに丁寧に歯ブラシをしても、歯と歯の間の歯垢は落とせません。たいてい虫歯になりやすいところは歯と歯の間なのです。そこで役に立つのが 『デンタルフロス』 と 『歯間ブラシ』 です。デンタルフロスは細い糸で歯と歯の間に通します。種類も色々ありますが、おすすめはワックスが付いていて滑りが良いタイプです。歯間ブラシは金属製の細くて短いワイヤーにナイロンの毛先が巻きつけてあります。歯周病で歯と歯の間に隙間ができてしまったり、歯並びが悪くて隙間がある場合にとても効果的なツールです。隙間が大きい場合はデンタルフロスでは歯垢が取り切れないため、そういった際には歯間ブラシをおすすめします。なお歯間ブラシは歯と歯の間に入らなければ使う必要はありません。デンタルフロスだけで十分です。歯と歯の間の隙間が殆ど無いのに無理に歯間ブラシを入れると、歯ぐきを傷つけてしまい隙間が広がってしまうため逆効果です。歯間ブラシにはワイヤーの太さで種類がいくつかありますので、自分のお口にあった適切な太さのものを使用しましょう。ガムを噛むのは効果的?ガムを噛む事で唾液の分泌が促進されますので、口中を浄化する作用があります。ただし、ガムを噛むことは歯ブラシの替わりにはなりません。またガムに砂糖が入っていると本末転倒です。ガムを噛むときは、成分をよく見て代替糖である 『キシリトール』 が入っているものを選びましょう。ここで注意が一つ。キシリトールが入っていても砂糖やブドウ糖加糖が入っているものはあまり効果がありません。甘味成分としてキシリトール100%のものを選びましょう。もし歯科医院で販売しているのであれば、まずキシリトール100%と思って間違いないでしょう。お口の健康を保つことは虫歯と歯周病の予防だけでなく、全身の健康やインフルエンザやコロナウイルスの感染防止のためにもとても重要です。しかし残念ながらこれらのセルフケアを頑張っていても、次第に歯垢と歯石は溜まっていきます。そこでセルフケアに加えて、歯科医院での定期検診を活用しましょう。歯科医院では溜まった歯垢と歯石を取り除くだけでなく、定期的に歯周ポケットを測定したりレントゲンを撮影することで、見えない病巣を早期に発見し、対処することができます。セルフケアとプロのケアで健康な体を維持しましょう。
-
インプラント・ブリッジ・入れ歯
こんにちは(^^) まだ汗ばむ気温ですが、空気は秋の匂いになってきましたね! 感染対策を怠る事なく日常に楽しみを見つけていきたい秋ですね♪♪ 歯を失ってしまった時の治療法である、インプラント・ブリッジ・入れ歯について、それぞれの特徴などを簡単に。 ★審美性 インプラント→ ジルコニアやセラミックス冠なので審美性に優れていて、 天然歯に近い仕上がりになる。 インプランのかぶせものは、周囲の歯に合わせた形・色を選択できるので、不自然さがほとんどない。 ブリッジ→ 保険適応だと奥歯は銀歯になる。保険外治療の場合はとても優れており、ジルコニアやセラミックなどの審美材料を使用すれば天然歯に近い仕上がりとなる。 入れ歯→ 保険適応の場合、部分入れ歯に使用するバネが金属部分のため目立つし見た目に劣る。保険適用外材質を使えば金属のバネのない部分入れ歯を作ることができる。 ★噛む機能 インプラント→ 天然歯と比較すると90%程度と言われているが、自分の歯(天然歯)とほぼ同じ物を噛むことができる。 ブリッジ→ 支えとなる歯の状態で異なるが、天然歯の6~7割程度の咀嚼力になる。 入れ歯→ 噛む力は天然歯よりも大きく低下してしまい、天然歯と比較すると20%程度。 固い物などが食べにくくなったり、くっつきやすいものは食べれなかったり小さく切ってから食べる必要が出てくる。 ★違和感 インプラント→ チタン合金製の人工歯根を顎の骨に入れ、その上にセラミックスのかぶせものをつけているで、天然歯に近い使い心地で違和感はほとんどない。 ブリッジ→ つながったかぶせものを接着剤で固定しているので安定感があり、違和感は少ない。歯がないところの隙間が気になることがある。 入れ歯→ 外形が大きく厚みがあり、口内に違和感があり、なかなか馴染まない。 総入れ歯は粘膜のみで支えているので、ズレたり痛みを感じたりすることがある。 ★味覚への影響 インプラント→ ほとんどない。 ブリッジ→ ほとんどない。 入れ歯→ 歯ぐきや上あごがプラスチックや金属で覆われるので、温度や味が感じにくくなる。 ★他の歯への影響 インプラント→ 自立しており他の歯へ影響を与えることはほとんどない。 ブリッジ→ 失った歯の両脇の歯を大きく削り支柱とするため、削られた歯へ大きな負担がかかる。 無理に噛んだり歯ぎしりがある人は、支台となる歯が折れてしまうことがある。 入れ歯→ 部分入れ歯の場合、バネをかける歯に大きな負担がかかる。揺さぶられるためグラグラになりやすい。 ★歯槽骨の吸収 インプラント→ 歯槽骨の吸収を抑制できる ブリッジ→ 歯槽骨の吸収が進んでしまう 入れ歯→ 歯槽骨の吸収が進んでしまう ★清掃のしやすさ インプラント→ 歯ブラシやフロスなど、自分の歯(天然歯)と同じ清掃方法でできるので、口の中を清潔に保ちやすい。 ブリッジ→ 天然歯と同じように清掃できるが、天然歯とダミーの歯の間に食べかすが詰まりやすく、また歯ブラシが届きにくいので、残っている歯が虫歯になりやすい。 入れ歯→ 義歯用ブラシや義歯洗浄剤を使っての清掃が必要。残っている歯にも食べかすが残りやすくなるので丁寧に歯ブラシをしないと虫歯になりやすい。 また、入れ歯は食事の後は毎回外して清掃が必要。 ★外科的治療 インプラント→ 顎の骨に直接ネジ穴をあけ人工の歯根を埋入するので、外科的治療が必要になる。 ブリッジ→ 必要ない。 入れ歯→ 必要ない。(骨が尖っていたり出っ張っている場合は必要になることがある) ★費用 インプラント→ 保険が適用とならないので費用が高くなる。 ブリッジ→ 材質によっては保険適用のものがある。自費だとインプラントと同じぐらいになることがある。 入れ歯→ 材質によっては保険適用のものがある。自費だとインプラントと同じぐらいになることがある。 ★治療期間 インプラント→ 治療期間が長くなる。 ブリッジ→ 短期間で治療可能。(抜歯した歯ぐきの状態による) 入れ歯→ 短期間で治療可能。(抜歯した歯ぐきの状態による) ★耐久性 インプラント→ 定期的なメンテナンスを欠かさずに行っていれば、10年以上も問題なく使える。 ブリッジ→ 定期的なメンテナンスを欠かさずに行っていれば長く使うことはできるが、支柱にした歯が虫歯になったり、負担がかかるため折れてしまうことがある。 入れ歯→ 人工の歯がすり減ったり、構造が複雑なためバネが折れたりすることがある。 歯ぐきの状態が変化するので約3年ほどで傷みが出てきたりゆるくなることがある。 歯を失ってしまった場合は以上の3種類の治療方法があります。 これらのどの方法も一長一短がありますが、定期的に検診に行くことでできるだけ長く安全に使うことが可能です。 治療が終わってもメンテナンスフリーというわけにはいきませんので、治したあとも定期検診を欠かさないようしましょう。 歯科アシスタント 松本
-
歯周ポケットについて
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。最近、歯周ポケットとという言葉はテレビのCMなどでもよく耳にするようになってきました。「この歯ブラシは歯周ポケットの奥まで届く」 とか、「歯周ポケットの中まで磨こう!」 など。歯周ポケットとは何でしょうか?今回はこの歯周ポケットについて説明をしていきます。歯周ポケットとは?歯周ポケットとは、歯と歯ぐきのあいだにある溝のことです。お口の中をよく見ると、歯と歯ぐきにあいだには1ミリ以上の隙間が空いています。その隙間の底部から先は、歯根膜という線維で歯と顎の骨がつながっています。歯周ポケットの長さは?歯周ポケットの深さは、『ポケットプローブ』 という器具で測ります。この器具には1ミリごとのメモリがついていて、歯周ポケットがどれぐらいの深さか一目で確認できるようになっています。ポケットの深さは、健康な歯ぐきの状態で1~2ミリ、やや腫れの歯肉炎で3ミリ、中等度の歯周病で4~5ミリ、重度の歯周病になると6ミリ以上になってしまいます。ちなみに歯周ポケットが全く無いということはありません。どんなに健康な人でも0.5ミリから1ミリの健康なポケットが存在します。ちなみに下の前歯ではポケットが全般的に浅く、一番奥の歯の後ろはポケットが深くなりがちです。さらに親知らずが中途半端に手前の歯と引っかかっていたるすると、ポケットは10ミリを超えてしまいます。歯周ポケットが深くなる原因歯周ポケットに歯垢や歯石がたまると不衛生になり細菌が繁殖します。歯周病の原因菌がポケットに入ると、中で炎症を起こします。すると歯ぐきが腫れ上がって出血したり触ると痛む場合があります。この状態が 『歯肉炎』 です。歯ぐきが腫れることで相対的に歯周ポケットの深さが深くなります。この歯肉炎の状態では、しっかりと歯垢と歯石を取り除き歯周ポケットの中をきれいにすることで、ポケットの深さを改善して、歯肉炎を治すことができます。しかし、この歯肉炎の状態を放っておくと、歯ぐきの奥の顎の骨(歯槽骨)が溶けてしまいます。顎の骨が溶けていくと歯周ポケットも深くなっていきます。この状態が、『歯周炎』 です。その他に歯周ポケットが深くなる原因として、歯並びが悪い、親知らずが横向きに引っかかっているなどでポケットが深くなります。歯周ポケットが深いときの状態ポケットが深いと、通常の歯ブラシだけではポケットの底部まで届かなくなってしまいます。すると細菌や食べかす、膿などがヘドロ状に溜まっていき、悪臭を放つようになります。歯周病の原因菌はこの歯周ポケットの中で歯垢を餌にして毒素を出し、また体の免疫機能も骨が腐らないように、自分で骨を溶かしていきます。さらに歯周病が進んでポケットが深くなると歯ぐきが腫れて出血して、歯を支えている骨が溶けることで食べかすが挟まるようになって、歯もグラグラしていきます。歯の根が露出するので、冷たいものがしみる、知覚過敏になっていきます。また歯と歯の間の骨が溶けてしまうので、歯ぐきもそれに伴って下がり、歯が長く見えることで歯が伸びた感じになります。重度の歯周病になると、いよいよ歯がグラグラして痛くて噛めない、歯ぐきが腫れて熱を持つようになり、最後は歯が抜けてしまいます。歯周ポケットの改善方法は?歯周病になって歯ぐきが腫れると、歯を支えている骨が溶けてしまっても見かけ上は隙間がないように見えてしまいます。また歯周病は、いよいよ重症になり残すのが不可能になるぐらいになってから症状が出るので、痛くなってから歯科医院に行っても手遅れということがあります。そのため歯科医院で歯科医師や歯科衛生士が、正確に歯周ポケットの状態を測定して、正しいケアを行う必要があります。歯周ポケットが広がり重症化するのを防ぐためには、適切な頻度で定期検診に行くことをおすすめします。歯科検診では、虫歯のチェックの他に、歯周ポケット測定と歯垢・歯石の除去、歯ブラシや歯間ブラシなどの指導を行っております。歯科検診の頻度は通常3~6ヶ月をおすすめしていますが、歯周病が進んでいる方は1~2ヶ月での来院をおすすめしています。歯ぐきが腫れたり、歯ブラシで血が出る、口臭が気になる、噛むとグラグラする、痛いなどの症状があれば早めに歯科医院を受診してください。
-
非歯原性歯痛
今回は、歯が痛いにもかかわらず、痛みの原因が歯ではない場合についてご紹介致します。 1・歯はどんな時に痛むのか? 通常は歯が痛い場合、虫歯だったり歯周病で痛い場合がほとんどです。 ほかには歯が割れたり折れたり、ぶつかって脱臼した状態の時ももちろん歯が痛みます。 虫歯の場合は、歯が細菌が出す酸によって溶けることで歯の中の神経(歯髄)に刺激が伝わり痛みとなって脳に信号が送られます。 歯周病の場合は、歯ぐきが腫れて膿を持ち、骨が溶けてしまいます。 そうなると歯がグラグラして歯を支えている骨や歯ぐき(歯周組織)が痛くなったり、歯の根が露出してしみるようになり歯が痛みます。また歯と歯を支えている骨をつないでいる『歯根膜』という繊維が引っ張られて痛みが出ます。 しかし、歯や歯の周りの歯周組織が原因でないのに歯が痛むことがあります。 このような場合の痛みを 『非歯原性歯痛』 (ひしげんせいしつう)といいます。 歯が痛くなって歯科医院に行き、レントゲンを撮ってもらったりしても何もないため、「しばらく様子を見て下さい」 と言われてしまいます。 『非歯原性歯痛』 の場合、様子を見ても痛みがおさまらない場合があるので、本人もどうしたらいいのか分からなくなってしまいます。 この、歯自体はなんとも無いのに歯が痛い、『非歯原性歯痛』 にも様々な原因があるため、歯科医院で何が原因なのかしっかりと把握してもらって、適切な処置を受ける必要があります。 ちなみに 『非歯原性歯痛』 に関しては、私が所属しています日本口腔顔面痛学会では以下のように分類されています。 https://jorofacialpain.sakura.ne.jp/?page_id=3129 いかがでしょうか? 『非歯原性歯痛』 にもこのようなさまざまな原因があります。 お口の周り、口腔領域以外の原因に関しては、残念ながら歯科医院で治すことはできません。 今回は、この分類の中でも比較的頻度が高い、『①筋・筋膜性歯痛』 をご紹介致します。 2・筋・筋膜性歯痛について 上記の画像は、左側が噛むための筋肉の一つ 『咬筋』 からの痛み、右側が同じく噛むための筋肉の一つ 『側頭筋』 という筋肉の筋膜痛を示します。 これはどういうことかというと、筋肉痛にもかかわらず、歯が痛いと錯覚してしまうのです。 なぜこのように錯覚を起こすのかというと、筋肉の痛い部分(トリガーポイント)を5秒間圧迫すると、関連痛として歯の痛みとして感じてしまうという事実があります。 咬筋のトリガーポイントを押すと、上の奥歯に痛みがでます。 側頭筋のトリガーポイントを押すと、側頭筋の前の方では上の歯の前歯、後ろの方では上下の奥歯に痛みが生じる場合が多いです。 痛みの特徴としては、ずーっと重い鈍痛、長い痛みの時間を感じます。 それからストレスがかかるとより一層悪化します(休日には楽になるなど)。 同じ姿勢を30分以上すると悪化する。 なお、原因不明の歯の痛みの78.8%がこの筋膜痛を感じるといった報告もあります。 また、増悪する原因として、筋肉痛である肩こり、首こりで悪化するといった報告もあります。 3・筋・筋膜性歯痛の治し方について 咬筋や側頭筋を触わって歯が痛む場合は、筋・筋膜性歯痛だと考えられます。 その場合は、ご自身で行えるセルフストレッチや、歯科医院で行うレーザー療法などの理学療法、お口の開口訓練などの治療方法があります。 (セルフストレッチに関しては必ず歯科医師の指示の下で行ってください。 自己流で行うとかえって症状が悪化する場合があります。また肩こりと違うので指で強くグリグリと押したり、ハンディマッサージ機などで強い刺激を与えないようにしてください) 筋・筋膜性歯痛を診査・治療するうえで大事なことは、診るべきポイントは歯だけではないということです。 下の歯を支えている下顎骨はフリーな状態になっていて、いろいろな筋肉と繋がっています。 この下顎骨は鎖骨などとも筋肉がくっついて全身の体の一部ですので、広い視野を広げて全身の状態を診察しながら診断をする必要があります。 実際に、この筋肉痛が脊髄に痛み刺激として入った時に、脊髄で収束や投射といった反応が起こり歯に痛みが生じます。 歯の神経はとても繊細です。また、歯に関連する感覚はすべて痛みとして感じます。 歯に伝わっている神経は頭の中の神経、12神経の中の一つですので、このような現象が起こるので、注意しながら診察していく必要があります。 当院では原因不明の歯の痛みがある場合には、口腔外科担当医が診察をいたします。 また状況に応じて、専門の大学病院にご紹介することが可能です。 もしもこのような症状をお持ちでしたら、お気軽にスタッフまでご相談下さい。 口腔外科医 歯科医師 鈴木