院長ブログ
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歯に良い食べ物について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回は、『歯に良い食べもの』について考えていきます。 皆さん、歯に良い食べ物と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? 砂糖が入っていない食べ物でしょうか? 加工されていない噛みごたえがある食べ物でしょうか? 実は歯の健康は食べ物に大きく左右されます。 そして歯の健康が損なわれると、今まで食べていたものが噛めなくなったりして食べられなくなってしまいます。 歯の役割は、『噛む』『飲む』『発音』『見た目』『力を使うときに食いしばる』など様々なことに使います。 しかし虫歯や歯周病で歯の機能が損なわれると、このような機能が損なわれてしまいます。 そのため日頃から歯に良い食べ物を積極的に摂るようにしましょう。 1 歯に良いとはどういう意味? 歯に良いという意味は、次の3つの要素があります。 ・歯を強くすること 歯を強くすることとは歯の成分を強くすることです。 歯の質が良くなれば虫歯になりにくく、破折や摩耗に対しても丈夫になります。 歯はカルシウムでできているので、子供のときは石灰化を助ける食べ物がいいでしょう。 具体的には、牛乳・チーズなどの乳製品、小魚やひじきなど。 また、人参・ほうれん草・しいたけ・わかめ・キャベツなども歯のカルシウムの生成に役立つビタミンA ・C・Dを豊富に含んでいるので積極的に摂るようにしましょう。 ・歯をきれいにすること 食べ物を食べることで、歯垢を落として歯の表面をきれいにすることです。 これには食物繊維の多い食べ物が挙げられます。 食物繊維の多い食べ物を食べると唾液の分泌を助けるため、唾液で歯の表面が洗い流されます。 これを自浄作用といいます。 食物繊維が多い食べ物は具体的に、ごぼう・こんにゃく・きくらげ・ひじき・大豆・しいたけ・セロリなどです。 ・顎の負担がなく、噛む力を強化するもの 顎のまわりの噛むための4つの筋肉が強化されると噛む力が強くなります。 このような効果がある食べ物は、やや硬めのごぼうやスルメ、ステーキなどの大きめの肉等です。 これらを適量摂取するようにしましょう。 ただし硬い食べ物を過剰に摂取すると、逆に顎に負担がかかるようになってしまいます。 顎の負担が多くなると、『顎関節症』といって、「開けると痛い」「音がする」「引っかかる」「だるい」「大きく開かない」などの症状が出るようになりますので注意が必要です。 現代人の顎は常に硬い食べ物を食べ続けるようにはできていません。 今まで加工した柔らかめの食べ物が多い食生活を送っていたのに、いきなり硬いものばかり食べ続けたら体が悲鳴を上げてしまいます。 2 歯に良い食べ物 歯に良い食べ物は上記に挙げた食べ物になります。 これらの食べ物は少し噛む必要がりますが、歯をきれいにしたり、歯垢の原因になりにくかったり、顎を強くする働きがあります。 3 歯に悪い食べ物 逆に歯に悪い食べ物は、歯にくっついて残りやすくとても甘いものです。 洋食は甘くなくても柔らかいものが多いので要注意です。 例えば、ラーメン、焼きそば、スパゲッティ、目玉焼き、オムライス、カレーライスなど。 甘いものはアイスクリーム、キャラメル、ケーキ、ビスケットなどです。 これらの食べ物が主食になると顎が発達しなくなるので、口元が小さく歯並びが悪くなったり、口元が閉じなくなって虫歯が多くなったりします。 さらに砂糖がお口の中に残ることで虫歯菌や歯周病菌が繁殖して、どんどん噛むことができなくなってしまいます。 また、軟らかいものを食べ続けると顎の関節がおかしくなったり、甘いものを食べ過ぎると疲れやすくなってしまいます。 食事は主に和食を中心に、食後はよく磨いて、数ヶ月に1度は歯科医院で定期検診を受けて、いつまでも健康な状態を保ちましょう!
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韓国のインプラント研修に参加
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回7月19日から21日にかけて韓国のソウルで行われた、インプラントのハンズオンセミナーに参加しに行って参りました。 このセミナーは、私が所属する国際口腔インプラント学会の海外セミナーになります。 今回のセミナーの講師の先生は、私が以前に名古屋で受講したセミナーの講師の韓国の大学の教授です。 前回の名古屋でのセミナーの様子 海外でのセミナー参加は初めてなので、とても楽しみでした。 しかも今回はただ聴くだけでなく、実習があります。 この国際口腔インプラント学会は臨床医、開業している先生が中心となって運営している学会なので、とても実践的です。 ソウルの金浦空港で交通手段はどうすればいいのか迷いましたが、バスで無事ホテルに着きました。 場所は江南地区にあり有名企業が集まるビジネス街です。明洞や南大門といった観光スポットとは離れたところにあるので観光客はあまりいませんでした。 さすが韓国、一流ホテルの中に美容外科が入っています! 韓国では美容外科はエステに行く感覚と同じなんでしょうね。 歯科のインプラント治療も噛めるようになるという機能的な側面と、見た目がとても綺麗になるという美容的な面があります。 そのため、韓国でセミナーが開催できるのでしょう。 coexインターコンチネンタルホテルのロビーに集合です。 空港についてからずっと韓国人しか見かけなかったので、ほっとしました。 首都ソウルにも関わらず、意外と日本人は多くないのですかね。 ここから歩いて5分のところに研修センターがあります。 韓国の最大手インプラントメーカーOsstem社のオフィスの中だそうです。 このセミナーの講師のCho先生です。1年前に名古屋でこの学会が主催するセミナーがあった時の講師の先生です。 実はCho先生はソウル大学の口腔外科の教授です。 口腔外科に所属していますが、インプラントを毎年なんと2,000本もオペしているインプラント治療のスペシャリストです。 韓国の最高学府であるソウル大学に所属しているからこそ、これほどまでに多くのインプラント症例があるのでしょうね。 日本の歯科医院では年間で100本もあれば、相当多いほうですから。 午前中の最初は講義です。一番前の席で一生懸命聴いてます。 この先生は英語と韓国語が喋れるのですが、主に韓国語を話して通訳の人が日本語に翻訳していました。 ちなみに通訳の人は韓国語が喋れる日本の歯科医師の先生でした。 午後から埋入の実習を行いました。インプラントはひたすら勉強と新しい技術の習得が必要です。 インプラントの治療方法自体はほぼ確立されておりますが、実際のインプラントのオペではさまざまなことが起こり、なかなか教科書通りには行きません。 我々インプラント専門医はどのような状況でも対処できるようにしなければなりません。 セミナー終了後に修了証の授与式がありました。韓国の大学の授与式のスタイルでしょうか。 このような衣装で修了証をいただけて、とても嬉しかったです。 次の日はソウル市内にある歯科医院を二軒見学する事ができました。海外の歯科医院を見学する機会などめったにないので貴重な体験です。 1件目の歯科医院です。ソウルスマイルフェイスデンタルクリニックという歯科医院で、高級ホテルのような雰囲気でとてもきれいでした。 奥の診察台で治療中みたいです。 ちなみに韓国ではインプラントはとてもポピュラーな治療法として認識されており、8割以上の歯科医院でインプラントを扱っているそうです。 2件目はデザインクリニックという歯科医院でしたが、ここではなんと歯の治療の傍ら、ネイルをすることができます! 本格的なネイル専用ルームがあるのにはびっくりしました。 素晴らしいアイデアですが、日本では法律上ちょっと不可能ですね。。。 今回のセミナーの日程は2泊3日しかなく、とても短かったため残念ながら観光はまったく出来ませんでした。 しかしインプラントの知識が深まり、また海外の歯科医院も見学することができたので、セミナーに参加して本当に良かったです。
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医は仁術
こんにちは、谷村歯科医院の谷村です。 先日、国立科学博物館の特別展『医は仁術』を見に行ってきました。 江戸の医学についての知識を深めることができましたよ。 私は趣味でよく博物館や美術館に行きます。 今回は歯科医学に関係がありそうなので興味があり早速行ってきました。 江戸時代の医学はどのようになっていたのでしょうか? 江戸後期に西洋医学が入ってくる前は日本の医学は昔から中国の影響を強く受けていました。 実際の臓器などの人体の構造はあまり重要視しておらず、どちらかというと目に見えない物、『気』を重視していて、この調和が崩れた状態を『病気』と言っていました。 医者が診察して診断後は患者の症状や状態に応じて薬を調合して処方していました。 この薬は日本の薬草を用いたものや、中国から伝わった漢方薬などがありました。 また針や灸などがポピュラーな治療方法で、それ以外にも医学とはいえない祈祷なども盛んに行われていました。 さらに漢方医学として中国の13世紀ごろの医学が取り入れてられていました。 江戸時代で有名な医学の出来事といえば『解体新書』でしょうか。 ドイツ人のAdam Kulmusが記した『ターヘル・アナトミア』のオランダ語訳を手に入れた前野良沢と杉田玄白が、江戸の死体解剖の際にこの本の図と実際の臓器の状態を照らし合わせたところ、ものすごく正確だったのでとても驚いたそうです。 このターヘル・アナトミアを4年かけて日本語に訳した解体新書が、我が国の初めての西洋医学書といえます。 山脇東洋が日本で初になる人体解剖を行い、その後人体解剖が各地に広まりました。 1804年(文化元年)に華岡青洲がなんと世界初になる全身麻酔下での乳がん摘出手術を行いました。 そして1823年(文政6年)にドイツ人医師のシーボルトが来日して最新の西洋医学を日本に伝えました。 医は仁術とは、「医は、人命を救う博愛の道である」という格言で、江戸時代に盛んに用いられたそうです。 また『仁』とは儒教から来ていて、"他を想う心"だそうです。 仁は身分制度が厳しかった江戸時代においても、身分の上下関係なく誰もが持つべき思想とのことです。 様々な難病を治療する様子が描かれています。真ん中の絵は歯を抜いているみたいです。 昔は歯が痛くなると抜くしかなかったのでしょうか? 江戸時代やもっと前の時代は抜歯のときに麻酔はどうしたのかとても気になります。 基本的にはこの絵に書いてあるように鉗子で力任せに歯を抜いていたみたいです。 麻酔らしい麻酔も無いので、「せ~の!」でいっきに抜いていたそうですよ。 しかしグラグラの歯ならともかく、そこそこしっかりしている歯はなかなか抜けません。 顎の骨というのは人体の骨の中でも一番硬いので、少しでも歯の根が引っかかっているとなかなか取れないのです。 この棒を歯に当てて、木槌でガンガン叩いて抜歯もしていたそうです。 つくづく江戸時代に生まれないでよかったと思いました。 これは江戸時代の入れ歯です。黄楊(つげ)の木でできています。お歯黒用なので歯の部分が黒いです。 当時の日本の入れ歯は世界で最も優れていたとのことです。 入れ歯作りを専門とする『入れ歯師』という職業があったそうです。 現代では入れ歯を作る際は、歯の型をとって模型を作ってそれをもとに作っています。 江戸時代でも蜜の蝋を用いて顎の方を取っていたそうです。 当時の入れ歯は顎にピッタリ吸い付く精度があったとのことで、日本人の器用さには驚かされます! 今回の特別展を見に来ている人は年配の人ばかりかと思っていましたが、意外にも学生や若い人も多かったです。 しかし、若い人をよく見るとみなさん医科関係の人みたいでした。 医師や医大生たちでしょうか?
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ホルモンバランスと歯周病の関係
こんにちは、谷村歯科医院の谷村です。 今回は、『ホルモンバランスと歯周病』です。 歯周病は体のホルモンバランスが崩れたときに悪化しやすいです。 これはどういうことなのか解説していきます。 1 歯周病とは? 歯周病(歯槽膿漏)とは、歯を支えている骨や歯ぐきが感染して炎症をおこし、腫れ、出血、痛み、グラつき、口臭といった症状が出て最終的には抜けてしまう、とても恐ろしい病気です。 最近ではこの歯周病が、心筋梗塞や脳梗塞、そして糖尿病など全身の命に関わる病気と密接なつながりがあることがわかっています。 歯周病は病巣が末期になるまで痛みや自覚症状があまりないので自分では気づきにくく、サイレントディズィーズと言われています。 そして30歳以上の約8割が歯周病にかかっています。そして50代後半から急速に歯周病が原因で歯を失うようになってしまいます。 歯を失う原因で一番多いのは虫歯ではなく、歯周病です。 この歯周病をいかに抑えるかが、歯を生涯残す鍵なのです。 2 歯周病の原因は? 歯周病は細菌感染です。歯垢、歯石の細菌が歯周病の原因です。歯に付着した細菌は歯垢という固まりになりますが、3ヶ月ぐらい立つと、唾液の中のカルシウムと結合して硬い歯石になります。 歯石はもはや歯ブラシで取り除くことができなくなってしまいます。 そしてこの歯石の裏には、酸素を必要としなくて毒性の強い歯周病菌が増殖していきます。 歯の表面につく白い歯石は『縁上歯石』といい、歯科医院では超音波の器械で容易に取り除くことができます。 しかしこの白い歯石の下に、腫れた歯ぐきから出た血液とつながった黒い『縁下歯石』ができます。 この縁下歯石が歯周ポケットを深くして歯ぐきに炎症を起こして、歯を支えている顎の骨を溶かしていくのです。 縁下歯石は器械を使ってもなかなか取り除くことができません。 取り除く際に痛みが強い場合は麻酔が必要ですし、ついている場所が構造上取り除くことが不可能な場合もあります。 顎の骨の支えのなくなった歯は歯ぐきだけでつながっています。この状態ではグラグラして物を噛むことは難しくまります。 そして最後には歯を失ってしまうのです。 3 ホルモンバランスとの関係は? ホルモンの中でも、特に女性ホルモンが歯周病と関わりがあります。 女性ホルモンが多くなると歯肉の血管の中の血流量が増えて、腫れたり失血しやすくなります。 そうなると傷口から歯周病菌が入り込み、重症化しやすくなります。 女性ホルモンの変化が大きい時期は、妊娠と出産の時期でしょう。 よく、「出産したら子供に栄養を取られて歯と歯ぐきが悪くなった」などということを聞きます。 これは全くの間違えで、ホルモンバランスの変化と、つわりで嘔吐することで胃酸が口に残って酸性になり、歯が溶けたりするためです。 さらに、気持ち悪くて歯ブラシがおろそかになってしまい、口の中の衛生環境が悪化することも大きな原因です。 また更年期になると、女性は体調が大きく変わります。 これには女性ホルモンが関わっていて、骨粗鬆症の薬であるエストロゲンも女性ホルモンの一種です。 骨粗鬆症とは、骨の中のカルシウムが溶けて骨密度が低くなる病気です。 骨粗鬆症の治療薬は、骨を溶かしていく破骨細胞を作用を止めますが、骨をつくる造骨細胞の発生も抑えてしまうのです。 そのため、この時期も歯周病に羅患する可能性が高まると言えます。 このように女性は男性よりも歯周病になりやすい条件が揃っているので、注意が必要です。 歯周病で顎の骨が吸収していくと、骨を再生することはほぼ不可能です。 もちろん男性もお口のケアを怠れば、歯周病で歯を失いますので頑張って毎日歯ブラシを欠かさないようにしましましょう。
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今年も米国レーザー歯学会に参加
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 2月26日から3月3日まで、昨年も参加した米国レーザー歯学会 (Academy of Laser Dentistry :ALD) の年次大会へ参加しに行って参りました。 昨年の学会の様子はこちら 今回の目的は最新技術の習得と、より上のクラスの資格の試験を受けることです。 ちなみに昨年習得した資格は、カテゴリー2という標準的な認定医の資格でした。 標準的とは言え、アメリカの学会の認定医なので全て英語で試験も筆記と実習があり大変でしたが。 今回受ける試験は、カテゴリー3という指導医クラスの資格です。 内容は桁外れに高度で、3つのテストをパスする必要があります。 1 30分以内にレーザーに関して100項目を説明しながら処置を実演するテスト。 2 2時間以内に175問を解くオンラインテスト。 3 5症例を集めて論文にして発表するテスト。 これらすべてを85%以上正解しなければなりません。(もちろんすべて英語です。。。) 何年もかかりますし、最低でも2年は学会に参加する必要があります。 今回は1のテストを受けに行きました。 今年の開催場所はアリゾナ州のスコッツデールという、空港のあるフェニックスから車で30分の所です。 会場に向かう道路はひたすら原野が広がっていて、漫画に出てきそうなサボテンがたくさん生えてます。フェニックスの街並みを過ぎるとずっとこの景色です。 途中にフェンスで囲まれたネイティブアメリカンの居住地がありました。 学会会場のホテルに着きました。到着して早々チェックインする前に、そのままスーツケースを持ったまま学会会場に直行してテストを受けに行きます! しかし残念ながら登録がギリギリ間に合わずテストがすでに始まっていました。 すごくがっかりしましたが、幸いにもスケジュール調整をしてもらい、テストは後日に受けることができそうなので一安心です。 いったんホテルに戻ってチェックインして、部屋でばったんぐーです。 翌日から学術大会が始まりました。時差ぼけと寝不足でフラフラです。 コーヒーが用意されているので受講中に寝ないように1日中飲み続けです。 前回持参した電子辞書は10年前のものだったので、新しく買いなおしました。 新しい電子辞書は医学辞典が入っていてすごく役立ちます。これがないと専門用語はわかりません。。。 夕食後は日本人の先生がみんな指導医の永井先生の部屋に集まって、夜中の2時まで勉強会です。平均睡眠時間2時間!みんな時差ボケと寝不足でふらふらです。。。 実技試験の試験会場です。開始時間は2日目の朝7時から!相変わらず早すぎ~ 試験官が2人座り、採点します。ここでレーザーについての安全管理や設定方法、治療内容の説明とブタの骨を使って実際のデモを行います。 昨年はスタンダードの試験で同じことをしましたが、試験官がいろいろを誘導してくれましたのでまだ楽でした。 しかし今回は指導医の試験のため、試験中は何も言ってくれません。 自分で正確に必要なことを説明して、正しいやり方でレーザーの処置をしなければなりません。 学会最終日に、表彰式と試験の合格者発表がありました。 自分の名前が呼ばれたときはとてもうれしかったです! 頑張ったかいもあり、今回も無事パスすることができました。 今年もまたまた主催者の一人であるJhonと一緒に写真を1枚。 このJhonさんが試験のコーディネーターで、いろいろとみんなの世話をしてくれました。 一緒に受けた先生方と、指導医の永井先生。 今年も大変お世話になりました。 昨年の学会はものすごくハードでしたが、今年はさらに輪をかけてハードでした。 しかしまだ、オンラインテストと症例発表が残っていますので、来年も頑張ります!
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最強の光照射器
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 歯科治療では詰め物や接着剤を固めたりするのに、光照射器を使用いたします。 材料の成分の中に特定の色(波長)に反応して固まる物質が入っていて、それによりペースト状だった詰め物や接着剤が固形状に変化します。 この固まるまでの速度は波長と明るさと温度に左右されて、特に明るければ明るいほど固まる速さが早くなります。 当院では、2年前より国産メーカーでいちばん明るい照射器を使用しておりましたが、このたび、光殺菌装置と同じメーカーの光照射器を導入いたしました。 デンマークのCMS Dental社のFlashMax P3です この照射器は当院の国産最大照度の照射器(2000 mW/cm2)よりもさらに2.5倍も明るいのです。(5000-6000 mW/cm2) 詰め物を固めるのに通常は照射器を当てて20秒かかりますが、これを使うと、なんとたったの1秒でかたまります! そのため患者さまがお口を空ける時間が少なくて済み、患者様の負担軽減につながります。 たかが20秒ぐらいと思われるかもしれませんが、歯の治療では数秒違うととても治療の効率が上がります。 私は3秒でも長いと感じてしまいます。。。 詰め物で治療を行う場合は、虫歯を削り取った後に次のような手順が必要です。 1 歯の神経を保護するセメントを神経に近い部分に塗って光を当ててセメントを固める 2 詰め物が歯にくっつくように接着剤の液を塗って光を当てて固める 3 最後に詰め物を詰めて光を当てて固める 4 削った部分が大きい時は2~3回に分けて光を当てたり、歯の色に濃淡ある場合は詰め物の色を何種類かに分けてそれぞれ照射して固める また治療する歯が1本ならともかく、一度に3本ぐらいまとめて治療したり歯のいろいろな場所が虫歯だったりすると、それだけ詰め物を詰める時間が長くなります。 例えば8か所ぐらい詰めるとしたら、昔はこれらの手順を行うと光を当てている時間だけで5分ぐらい必要でした。実際にはつけたり消したりの動作があるので時間はもっとかかります。 しかしこの照射器ならば光を当てている時間は、全部で1分もかかりません。 歯の治療の予約は30分毎なので、この違いはとても大きいのです。 当院にやってきた光照射器のFlashMax P3です。 先日購入した同じCMS Dental社の光殺菌装置FotoSanとそっくり同じ形です。 光殺菌装置のFotoSanも光照射機ですが、殺菌効果のある液に反応する赤い波長の照射器でした。 ボタン周りの軟らかいシリコン部はFotoSanはオレンジでしたが、この照射器はブルーです。 それではさっそくスイッチ・・・オン!! すごい光量です。こちらもFotoSanと同じく眩しすぎて、直視できません! 私が大学を卒業してすぐの頃は光照射器はハロゲンライトであまり明るくなくて波長も合っていないので、詰め物が固まるまで40秒ぐらいかかりました。 白熱球なので球切れがあったり、紫外線成分が目に有害なのでオレンジの大きなシールドを付けていたり私もアシスタントも照射中は光を見ないように顔をそむけていました。 その後は車のヘッドライトに使用されていたHIDランプを光源とした光照射機が販売されました。 こちらはハロゲンライトよりもかなり明るかったのですが、器械がとても大きく、また高価でした。 15年ぐらい前に初めてLEDのペン型の照射器が発売されたときは小ささと手軽さに感動しましたが、当時のLEDはとても暗くて1分しても詰め物が固まらずとてもではありませんが使い物になりませんでした。 それがだんだん明るくなって20秒ほどで硬化が可能になり、ついには1秒です。 さらにここまで明るくはありませんが、中国の歯科機器メーカーが販売している光照射機はとにかく安いです。 テクノロジーの進歩の速さにはとても驚かされます!
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歯磨き粉の種類について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 前回は、『歯ブラシの種類』について解説しましたが、今回は歯ブラシをする際に欠かせない『歯磨き粉』について説明いたします。 薬局やスーパーに行くと、歯ブラシと並んでとても多くの種類の歯磨き粉が売っていてどれを買ったらいいのか迷ってしまいますよね。 歯磨き粉のパッケージには実に様々な効果が書いてあります。 なかには歯磨き粉を使わずに毎日歯ブラシをしている人もいますが、基本的には歯磨き粉をつけて磨いたほうがいいでしょう。 ごくまれに塩だけつけて磨いているという方もいらっしゃいます。たしかに塩化ナトリウムは歯ぐきを引き締める効果がありますが、結晶状だと歯肉を傷つけますのでおやめください。 1 歯磨き粉はなぜ使う必要があるのか? 現在市販されている歯磨き粉には次のようなさまざまな効果があります。 そのため、歯を磨く時には歯磨き粉を適量つけましょう。 〈歯磨き粉の効用〉 ・歯垢を落としやすくする ・歯ぐきからの出血や炎症を抑える。 ・口臭を取り除く ・口の中をさっぱりさせる ・歯の汚れを取る ・歯を白くする ・知覚過敏を抑える ・口の中を殺菌する ・初期虫歯を再石灰化させる 虫歯予防としては、歯磨き粉の成分にキシリトールを入れて、虫歯菌が歯を溶かす酸を作らないようにする効果があります。フッ素を入れると歯の表面を酸に対して強くする作用があります。 また、ハイドロキシアパタイトを配合して、顕微鏡レベルの初期虫歯を再石灰化する効果があります。 歯周病予防としては、デキストラナーゼを配合して歯垢を分解する効果や、トラネキサム酸で腫れている歯ぐきを引き締める効果があります。 最近は機能に特化した歯みがき粉が薬局で多数販売されています。 一番多いのが虫歯予防、次が歯周病予防です。 さらにホワイトニング効果や着色除去効果を謳ったものも販売されています。 2 歯磨き粉の成分は? 歯磨き粉は主に次のような成分でできています ・薬効剤 虫歯予防や歯周病予防などの成分 ・発泡剤 泡立って口の中に広がりやすくする。少ないほうがいい ・研磨剤 歯を痛めるので少ないほうがいい ・湿潤剤 歯磨き粉のペーストを湿潤状態にする ・香味料 歯磨き粉に味をつける ・着色料 歯磨き粉に色をつける タバコのヤニ取りの歯磨き粉などは真っ黒で頑固なタールを落とすために研磨剤が多く含まれていますが、歯や歯茎を痛めるのでおすすめしません。 また香味料も口の中がさっぱりするので、まだ歯垢が取り切れていなくてもきれいになった気になってしまうため、香味料は少ないほうがいいでしょう。特にメントール系の味は口に入れた瞬間にすでに磨き終わった気になってしまいます。。。 発泡剤も口の中の歯みがき粉が泡状になることで気持ちいのですが、泡立ちが少ない歯みがき粉のほうがいい歯みがき粉です。 湿潤剤が少ないとペーストが固まってしまいます。 着色料は歯みがき粉に色を付けてストライプにしたりしていますが薬効的にはまったく意味はありません。 3 歯磨き粉の使い方は? 歯磨き粉を歯ブラシに適量つけますが、大量につけても効果は変わりません。 逆に歯磨き粉の清涼感で、磨けていなくても磨いた気になってしまうので注意しましょう。 当院では歯周病予防効果のあるものと、知覚過敏を抑制する効果のあるものと2種類の歯磨き粉を販売しています。 虫歯予防、歯周病予防、知覚過敏抑制の3つの効果があり、泡が少ないので磨き残しを少なくする効果があります。 ここで決して誤解しないでほしいことは、歯磨き粉の成分では病気を治すことはできません。 大きな虫歯が治ったり、深い歯石が綺麗になくなるわけではありません。 やはり何かあったら早めに歯科医院で診てもらうか、定期検診を欠かさないようにしましょう!
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インプラントの学会に参加
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 11月16・17日に私が所属しています国際口腔インプラント学会の年次大会へ参加してまいりました。 実際の学術大会は17日の日曜日ですが、16日の土曜日はドイツの先生による日本では珍しい『神経移動術』の実習がありましたので、こちらも参加することにしました。 私もこのような内容は初めてだったので、とても勉強になりました。 最初講義が2時間ぐらいあり、そのあと豚の骨とインプラントの機材を用いた実習でした。 この実習は、インプラント治療の術式の中でもさらに高度な術式です。 神経は損傷するとしびれや麻痺が起きますのでそんなに簡単には移動させられません。 一番手前が私です。せっかくなので一番前で聴かないと。女性二人は通訳の方です。 このセミナーは大変人気だったらしく、早々と満席になったそうです。 参加者は24人でしたが、難易度の高い実習のため、みなさんベテランの先生ばかりでしたね。 ドイツの講師の先生も、受講している歯科医師のインプラントのスキルが中級者以上と想定して話していました。 実習では歯肉を縫合する場面がありましたが、どの先生もスイスイと縫合しています。 歯肉の縫合はとても奥が深く、新卒の歯科医師や経験の浅い歯科医師はまずうまく縫合することができません。 歯肉をどう持ち上げて、糸と針をどうつけて、最初歯肉のどこに入れて出血だらけの歯肉の中で、どう針を出すのか。また糸を結ぶ時もたるまずちぎれず、簡単に緩んでこないようにする必要があります。これらの動作を狭い口の中で、短時間に何針も縫わなければなりません。 親知らずの抜歯の際の縫合などは手首をフルに回転させて細かな動きもしますので超大変です。 しかし受講している先生たちの手さばきを見ると、どうやら口腔外科出身の先生が多いみたいです。 普通の歯科医師の縫合のスピードではありません。。。 また女性の先生は皆無でした。 翌日、17日は学術大会です。この日はさすがに何百人もの会員の先生が来ていました。 インプラントはリスクの高い治療方法なので、受講している先生もとても熱心に聴いていたように見受けられました。 この学会は開業医の先生が中心となっているので、参加している先生たちも全国の歯科医院を経営されている方ばかりです。 これが同じインプラント学会でも日本口腔インプラント学会の方は歯科大学の先生たちが多いので、内容がかなり学術的になります。 学術大会に関係した歯科関連業者の展示も多く、最新機器に触れることができとても参考になりました。 ここで電動(音波)歯ブラシのソニッケアーがブースを出していました。 この音波歯ブラシはとてもいいので私ももう15年以上使用しています。(もちろん何度か買い替えていますよ) ソニッケアーのインストラクターをしている歯科衛生士さんが、後日に当院に来てソニッケアーについてレクチャーしてしてくれることになりました。 インプラントはリスクの高い治療ではありますが、しっかりとした技術と知識を身につけることで安全性が高まり、治療によって患者さまのクオリティオブライフは格段に向上します。 歯がなくなると、両隣の歯を削って繋がった被せ物をつくるブリッジか取り外しが必要な入れ歯になります。 どちらもうまく噛めなかったり残っている歯を痛めることがあります。 しかしインプラントは人工歯根が歯を支えて噛めるようになるため、残っている歯を保護する上でもとても優れた治療方法なのです。 当院ではインプラント治療を行うにあたりCTによる検査と、大学病院の口腔外科専門医に来てもらい、一緒にオペを行うため、とても安心、安全性が高いです。 さらにリスクに関しても事前にご説明し、それを文書でお渡ししており、インプラントの10年保証をしておりますので、安心して治療を受けていただけます。
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光・レーザーのセミナーに行きました
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 昨日、品川で行われた光殺菌とレーザー治療のセミナーに行きました。 このセミナーは、アメリカで一緒にレーザー学会の認定医試験を受けたiCATという業者の社長さんと、同じく学会に一緒に参加してこの会社を経営している歯科医師の先生が主催してます。 今回は審美歯科やインプラントでの治療に関する内容だったので、セミナーに参加してとてもよかったです。 特にインプラントに関する講演は臨床にとても役立つ内容でした。 インプラント治療はとても難しく奥が深くいのでレーザーがとても有効だからです。 歯肉を出血無しで切ったり殺菌したり治癒を促進したり痛みを和らげる事ができます。 また審美領域でもレーザーはとても有効です。 歯の見えている部分をきれいにそろえたり、ホワイトニングに使用したり、なかなか取り切れない歯石を除去したり、外科処置で歯肉を切った際に歯の根が出てしまうケースでレーザーを使用して最小限に抑えたりすることができます。 そのため歯科用レーザーはざまざまなメーカーから、いろいろな種類のものが販売されており、レーザーを導入している歯科医院も多いです。 しかし具体的にどんなレーザーをどのような設定でどのような動作で使用すればいいかなどはなかなかわかりにくいので、あまり使用していない医院が多いのが実情です。 また歯科用レーザーに関しては詳しく書いてある本がないのが現状です。 今回のセミナーでは、いろいろな先生が講演されてとてもためになりました。 主催の歯科医師の十河先生です。大阪大学歯学部の講座にも在籍されており歯科機器の会社も経営されています。バリバリの関西弁で、とてもアグレッシブな先生です。 この業者iCATさんでは、ドイツ製の歯科用レーザーを販売しています。 残念ながら私が現在持っているレーザーと同じ波長のレーザー機器のため、使用しても同じような効果なので購入することはありませんが、設定に関してはとてもよさそうでした。 セミナーの受講は、せっかくなので一番前で聞いてました。 前回アメリカに一緒に行った矯正の先生や大阪の先生も来ていたので、久しぶりにみんなで話ができてとても楽しかったです。 みなさんアメリカのレーザー学会に診療所を休んでわざわざ行くぐらいですからレーザーにはとても詳しく、私も会話していてとても参考になる話を聞くことができました。 ちなみに私の右後ろで立っている人は、歯科専門雑誌の編集者の方です。 最近その歯科雑誌に私も記事を執筆しました。 記事を書くのはなかなか大変です。 専門誌なので間違えたことを書くことはできません。 しっかり考察して、適切な文章と写真を組み込むのにすごく時間がかかりました。 この編集者の方とお会いしたのは今回初めてでしたが、とても感じのいい方でした。 また機会があれば大変ですが頑張って投稿してみようと思います。 講演された永井先生と。レーザーを使用した歯科治療の第一人者で私の師匠です。(自称ですが) 今回の講演もユーモアを交えてとても分かりやすく、しかも実際の臨床にとても役に立つ内容でした。 また今度アメリカのレーザー歯学会に行くときは、よろしくお願いいたします。(^o^) 今回は朝から一日がかりの長丁場のセミナーでしたが、レーザーの審美治療での使い方や、光殺菌の症例、インプラント治療での注意点などの話が聞けて、とても充実した1日でした。 日常でレーザーを使用している際の疑問点が解消されてスッキリしました。 大学が主催している学会はどうしてもデータ重視で研究レベルの内容が多くてあまり面白く有りませんが、こういった実践的なセミナーはとても有意義です。 また明日から、今日の内容を踏まえて患者さまの治療に役立てていこうと思います。
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デンタルショーに行きました
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 先日、東京ビックサイトで行われていたデンタルショーに行ってまいりました。 毎年さまざまな歯科関係の展示会が行われますが、この東京デンタルショーは特に規模が大きい展示会です。 日本全国では、近畿デンタルショー・北海道デンタルショー・九州デンタルショー・東北デンタルショーなどが開催されています。 また一番大きなデンタルショーは日本デンタルショーですが、これは4年に一度の開催となります。 なおいずれのデンタルショーも一般の人は入場することができません。 歯科医療関係者(歯科大学の学生を含む)や歯科医療ビジネス関係者のみとなっております。 デンタルショーでは最新の医療機器を見ることができます。 また購入したほうがいいのか迷っているときも、実際に行ってみることで判断がつきます。 医療機器はとても高価なので購入してから思っていたのと違ったり、あまり使わないとなるとお金を捨てるようなものです。 特に大型機器(診療台やレントゲン機械など)は、カタログ上の仕様だけではわからない実際の動き方や動作音などもしっかり確認が必要です。 会場に朝一番で行ったので、まだすいていてゆっくりと見て回ることができました。この後帰るころにはとても多くの人でごった返していました。なんでも早いに限ります! それにしても、歯科関係者だけでこれほどまでに多くの人がいるのに驚きました。 もちろん、一般的なモーターショーなどとは規模がまったく違いますが、歯科医師、歯科衛生士、歯科アシスタント、歯科技工士さんで溢れかえっていました。 歯科治療では、診察台やレントゲン装置以外にも、とても多くの器具や材料を使います。 たとえば、検査機器、削る器具、詰め物、型取り、調整、かぶせもの、抜歯器具・材料、インプラント、カルテ用パソコンソフト、衛生用品、便利グッズなどなど、、、 そのため最新情報を知ることは、最善の歯科医療を行う上で欠かせません。 歯科治療は100年以上かけて改善されてきました。 ここ20年ほどは治療技術や術式はもはや確立されているのでそんなに画期的なものはありませんでしたが、それでも参加するたびに面白そうなのもが展示されています。 例えば歯の根の中を詰めるものですが、今までであればばい菌が残っている場合、かぶせてから腫れたり痛くなったりすることがありました。 しかし最新の詰め物であれば詰め物自体に強力な殺菌効果があり、そのようなことがまったくなくなりました。 歯の被せ物には保険適応の銀歯や自由診療の白くて錆びずアレルギーのないセラミックなどがあります。 せっかく高価なセラミックをかぶせた後で腫れたり痛みが出ると大変です。(銀歯でももちろん同じですが) これは最新の歯の予防のための液体キットになります。とてもよさそうでしたが、健康保険適応外のためコストは高くなってしまうため導入は見送りました。 他にいいなと思ったものは、歯の型どりをする代わりに特殊なカメラで歯の撮影をして、CADCAMでかぶせ物を作っていく装置です。 まだかぶせ物としての精度は今一つという感じでしたが、そのうち製作の精度が上がれば導入してもいいかもしれません。 会場を全部回ったので半日がかりになってしまいました。 ちなみに世界最大のデンタルショーはドイツで行われるケルンデンタルショーだそうです。 全部見て回るにはなんと3日間ぐらいかかるそうです! いつか機会があれば、医療先進国であるドイツにも行ってみたいものです。 販売業者の売り込みがちょっとしつこいのがちょっと面倒ですが、基本的には最新の歯科医療を学ぶ上で、デンタルショーに行くことはとても有意義でした。