院長ブログ
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無痛の麻酔
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 9月にアメリカの歯周病学会に行きましたがその際に、麻酔の注射をするときの 『刺す痛み』 がなくなる器械を購入しました。 歯科治療、特に虫歯の治療をする際は『麻酔』が欠かせません。 麻酔しないで虫歯を取っていると歯の神経(歯髄)の近くになるとしみてきたり痛くなってきます。 痛いのを我慢していたり冷や汗が出ている患者さんを見ているとかわいそうになってきて、つい虫歯を取り切れずに終わらしてしまいます。 そうすると詰めたあとでもしみたり虫歯が広がったりして、いいことがありません。 そのため虫歯の治療をする際には麻酔が必須なのです。 また、歯周病の治療や歯石を取る際も麻酔をすることがあります。 歯の表面についた歯石を取り除く際はそれはど痛くないので麻酔はいりません。 しかし歯ぐきが腫れて膿が溜まった際に歯ぐきをメスで切ったり、歯周ポケットの深いところについた頑固な歯石(縁下歯石)を取り除く際はやはり麻酔をしてしっかり歯石を取るのが確実です。 しかし、これには欠点があります。 そうです。麻酔は歯ぐきに針をさすので、麻酔をするときは針を刺す痛みがあります。 ある意味究極の選択でしょう。麻酔の針の痛みがイヤか、治療の時の痛みがイヤか? そのため当院では初診時に麻酔はどうしますか?と問診票でお聞きしています。 ・麻酔はできるだけしたくない ・必要があれば麻酔してほしい ・麻酔はいつもして欲しい ほとんどの人が「必要があれば麻酔してほしい」にマルをつけますので、状況に応じて麻酔をするようにしています。 そして注射がとにかくイヤなので治療で痛くても限界まで我慢します、という人と歯の治療は怖いのでいつでも口の中を触る治療なら必ず麻酔してほしい、といった人がいます。 どちらにせよ、麻酔は注射になるので、針を刺す痛みは誰でも嫌なものです。 そこで本題に戻りますが、アメリカの学会に行った際に器械が振動することで針刺しと麻酔液の注入の痛みを感じなくする装置に目が止まりました。 試しにこの装置を手の甲に当てて、そこに注射の針を軽く触れてもまったく感じません。 装置を当ててないときはもちろん尖った針先が触れるだけでチクッとします。 値段もそれほど高くなかったので、その場で決断して購入手続きをしました。 注文してから1ヶ月かかりましたが、ようやく装置一式が届きました。 DENTALVIBE という器械です。 上の画像上ではちょっと分かりにくいのですが、先端がブルブルと高速振動しています。 この二股に分かれた先端はゴムになっていて、歯ぐきに当たっても痛くありません。 そしてブルブルを持続させた状態で二股の間に麻酔の針を刺すとあら不思議、針刺しのチクッとした痛みがぜんぜんありません! 先端の二股部はディスポですのでとても衛生的です。 充電器に挿して立てた状態です。この充電器もスタイリッシュでとてもかっこいいです。 左隣に写っているのは、先日購入した世界最強の光照射機FlashMax P3です。 ちなみに当院では元々麻酔の注射筒に直接つけるコンパクトな振動するバイブラジェクトという器械を持っておりますが、原理は同じです。 バイブラジェクトは注射筒自体を振動させて針先が震えて刺す時の痛みを和らげます。 ただし振動が弱いので痛みを感じる場合もあります。 しかしこちらのDENTALVIBEはかなり強力に振動しますので、確実に麻酔の針刺し痛をなくすことができます。 当院では、患者さまに快適に歯科治療を受けていただけるよう、これからも様々な器械を導入したり新しい治療法を取り入れていきます。 DENTALVIBEを使用する上で当院では別途費用は頂いておりません。 患者さまでこのブログを見て、「痛くない振動する器械を使ってほしい」とおっしゃっていただければいつでも使用させていただきます。
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日本赤十字社から金色有功章の表彰を受けました
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 10月15日に明治神宮会館で開催された東京都赤十字大会で、金色(きんしょく)有功章を受章し、その表章を受けることができました! 私は高校生の時は青少年赤十字に所属していましたが、近年は歯科医師として赤十字活動に貢献させていただいておりました。 受章者は毎年全国で何人もいますが今大会で私は受章者代表の一人に選ばれ、式の最中壇上にて日本赤十字社名誉副総裁の高円宮妃殿下より直々に章をいただくことができました。 明治神宮の入り口です。大会は午後1時からですが、壇上受章者は受章のリハーサルのため、朝早くから会場に行かなければなりません。 この日は朝からとても緊張していました。 観光客で賑わう入り口から10分ほど歩くと会場が見えてきました。 式典には皇室関係者が来られるため、警備がとても厳重です。 会場に入るまで何回もセキュリティーチェックがありました。 せっかくなので写真を取りたかったのですが、写真をとってもいいか聞いたところ会場内はセキュリティーの都合上撮影不可とのことでした。 この会場は以前にも何回か訪れたことがあります。 歯科の保険診療の改正があった際に毎年参加が義務付けられている講習会で使われたことのある会場でした。 歯科診療の講習会で参加するときは参加者全員が歯科医師で、内容も講演というよりも指導になるので皆さんとても緊張しています。私もその際はいつも必死です。 今回は同じ会場を使用するとはいえ状況が違いますので、違和感がありました。 会場に入るとまずは控室に通されて、今日の進行手順について説明を受けます。 同じく当日壇上に上がる人たちが控室にいましたが、皆さん年配の方ばかりで私はこの中ではまだまだ若輩者ですね。 控室で少し休憩したあとに壇上に上がる人全員が本会場内に入り、そこで1時間ほどリハーサルを行いました。 壇上には東京都赤十字の支部長である東京都知事や、日本赤十字社名誉副総裁の高円宮妃殿下がいらっしゃるので何度も手順を繰り返し練習をします。 (写真は日本赤十字社東京都支部季刊誌NTより) 午後になり東京都赤十字大会が始まりました。 しばらくして高円宮妃殿下と支部長の舛添要一東京都知事はじめ、私は存じませんが偉い人が多数参列されています。 式はとても厳かな雰囲気で1,500人ほどの参加者の最前列に座って、自分の名前が呼ばれたら壇上に上がるのです。 こんなことは初めてだったので、さすがに私は終始緊張しっぱなしでした^^; 受章者は全員で10名ほどでした。他には別の功労があった方や災害時の救助活動に貢献があった方などがそれぞれの表彰を受けていました。 医院に戻って、頂いたものを確認しました。 こちらが式でいただいた金色有功章です。 これを付けてなにかに参加する機会はまずないと思いますが、しっかりとしたケースに入っておりとても有り難みを感じます。 また、賞状もその際にいただきました。 こちらは額に入れて院長室に飾っています。 なお壇上受章の際にカメラマンが写真を撮影していて、後日郵送されました。 このブログにその写真をアップしようとしたのですが、皇室の方の写った写真は掲載不可とのことでした。 現在は私の貴重な記念として賞状と一緒に院長室に飾っております。(^^) 受章の際、高円宮妃殿下にささやき声で、「おめでとうございます。」とお声をかけていただきました。 歯科医師でこの章を受章する人はなかなかいないとのことで、今までの功績や高校生の時からの活動が評価されて今回壇上受章の指名をいただくことができたみたいです。 今後もこの章に恥じないように、患者さまの治療と社会貢献にさらに努めたいと思います。
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アメリカ歯周病学会へ参加
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 9月18日から23日まで、アメリカ歯周病学会の年次大会へ参加をしに行ってまいりました。 この学会は今年で100周年とのことで、いろいろと勉強になりそうなのでアメリカレーザー歯学会に参加した際に知り合った先生と一緒に参加することにしました。 お口の2大疾患とは、『虫歯』と『歯周病』です。 この2つの疾患に対していかに取り組んでいくかということを世界中の歯科医師が考えています。 そのため世界で一番大きい歯周病学会に参加するということはとても意義があると感じました。 学会の会場の場所は、サンフランシスコのモスコーンセンターという大きなイベントホールになります。 サンフランシスコの空港に着きました。曇っていたせいもあり、東京より寒かったです。 飛行機には日本人がいっぱい乗っていましたが、空港につくと皆さんどこに言ってしまったんだろうというぐらいいなくなってしまいました。 今回の学会はサンフランシスコの中心なので、さまざまな行き方があります。 交通手段としてはバスと地下鉄が一般的ですが、私は空港からバート(地下鉄)に乗って市内まで行きました。 地下鉄の車内はとても空いていたので快適でしたよ。 地下鉄に乗ること約30分でサンフランシスコの中心地に到着しました。 地上に出てホテルまでは徒歩2分ぐらいです。あっという間にホテルにチェックインすることができました。 時間があったので荷物を一旦部屋において、明日から始まる学会の会場を見に行きました。 歯周病学会が開催される会場までは、宿泊するホテルから歩いてたったの3分ぐらいです。 宿泊するホテルは立地が良いせいか、直前になったら満席になってしまいました。 翌日の学会開催日初日になりました。 会場ではまず受付をしますが、ちなみに時間は朝7時!アメリカの学会は朝とても早いです。 寝不足と時差ボケでちょっと朦朧としています。^_^ 学術大会の最初の基調講演が始まりました。 ものすごい人です。この人達全員アメリカの歯科医師です。 さすが米国歯周病学会、前回参加した米国レーザー歯学会とは規模が違います。 レーザー歯学会は人数が少ないのでとてもフレンドリーな感じがして、それはそれで良かったです。 講義や発表の合間に歯科関連業者の展示も見に行きました。 歯科材料や機械のメーカーが多数出展しています。業者の展示もレーザー学会と比べるととても大きかったです。 このフロア全体をくまなく見て回るだけで半日がかりです。 いろいろ見て回りましたが、ある展示ブースで日本未発売の麻酔の注射が痛くなくなる器具があり、思い切って購入してしまいました! 注文してから2,3週間で日本に到着するので今から楽しみです! 米国歯周病学会は4日間開催されます。 次の日も私はいくつかのセッションに参加しました。 歯周病に関する発表のはずですが、実際の内容はインプラント関連がとても多かったです。 滞在3日目にとても楽しいことがありました。 今回幸運にも、サンフランシスコで開業している先生のクリニックを見学することができたのです。 院長のGene McCoy先生と。この先生は補綴(かぶせもの)で有名な先生です。 院内を案内していただき、いろいろな治療の症例について解説してくださいました。 貴重な時間を割いていただき、ありがとうございました! 3日目の夜に100周年記念イベントがあったのですが、その時に米国レーザー歯学会のMr. Jhonと会うことができました! 彼も私のことを覚えていてくれて、とても嬉しかったです。 今回もかなりハードな日程でしたが、海外の学会に参加することができてスタッフや患者様や家族に感謝です!
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歯に良い食べ物について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回は、『歯に良い食べもの』について考えていきます。 皆さん、歯に良い食べ物と聞いて何を思い浮かべるでしょうか? 砂糖が入っていない食べ物でしょうか? 加工されていない噛みごたえがある食べ物でしょうか? 実は歯の健康は食べ物に大きく左右されます。 そして歯の健康が損なわれると、今まで食べていたものが噛めなくなったりして食べられなくなってしまいます。 歯の役割は、『噛む』『飲む』『発音』『見た目』『力を使うときに食いしばる』など様々なことに使います。 しかし虫歯や歯周病で歯の機能が損なわれると、このような機能が損なわれてしまいます。 そのため日頃から歯に良い食べ物を積極的に摂るようにしましょう。 1 歯に良いとはどういう意味? 歯に良いという意味は、次の3つの要素があります。 ・歯を強くすること 歯を強くすることとは歯の成分を強くすることです。 歯の質が良くなれば虫歯になりにくく、破折や摩耗に対しても丈夫になります。 歯はカルシウムでできているので、子供のときは石灰化を助ける食べ物がいいでしょう。 具体的には、牛乳・チーズなどの乳製品、小魚やひじきなど。 また、人参・ほうれん草・しいたけ・わかめ・キャベツなども歯のカルシウムの生成に役立つビタミンA ・C・Dを豊富に含んでいるので積極的に摂るようにしましょう。 ・歯をきれいにすること 食べ物を食べることで、歯垢を落として歯の表面をきれいにすることです。 これには食物繊維の多い食べ物が挙げられます。 食物繊維の多い食べ物を食べると唾液の分泌を助けるため、唾液で歯の表面が洗い流されます。 これを自浄作用といいます。 食物繊維が多い食べ物は具体的に、ごぼう・こんにゃく・きくらげ・ひじき・大豆・しいたけ・セロリなどです。 ・顎の負担がなく、噛む力を強化するもの 顎のまわりの噛むための4つの筋肉が強化されると噛む力が強くなります。 このような効果がある食べ物は、やや硬めのごぼうやスルメ、ステーキなどの大きめの肉等です。 これらを適量摂取するようにしましょう。 ただし硬い食べ物を過剰に摂取すると、逆に顎に負担がかかるようになってしまいます。 顎の負担が多くなると、『顎関節症』といって、「開けると痛い」「音がする」「引っかかる」「だるい」「大きく開かない」などの症状が出るようになりますので注意が必要です。 現代人の顎は常に硬い食べ物を食べ続けるようにはできていません。 今まで加工した柔らかめの食べ物が多い食生活を送っていたのに、いきなり硬いものばかり食べ続けたら体が悲鳴を上げてしまいます。 2 歯に良い食べ物 歯に良い食べ物は上記に挙げた食べ物になります。 これらの食べ物は少し噛む必要がりますが、歯をきれいにしたり、歯垢の原因になりにくかったり、顎を強くする働きがあります。 3 歯に悪い食べ物 逆に歯に悪い食べ物は、歯にくっついて残りやすくとても甘いものです。 洋食は甘くなくても柔らかいものが多いので要注意です。 例えば、ラーメン、焼きそば、スパゲッティ、目玉焼き、オムライス、カレーライスなど。 甘いものはアイスクリーム、キャラメル、ケーキ、ビスケットなどです。 これらの食べ物が主食になると顎が発達しなくなるので、口元が小さく歯並びが悪くなったり、口元が閉じなくなって虫歯が多くなったりします。 さらに砂糖がお口の中に残ることで虫歯菌や歯周病菌が繁殖して、どんどん噛むことができなくなってしまいます。 また、軟らかいものを食べ続けると顎の関節がおかしくなったり、甘いものを食べ過ぎると疲れやすくなってしまいます。 食事は主に和食を中心に、食後はよく磨いて、数ヶ月に1度は歯科医院で定期検診を受けて、いつまでも健康な状態を保ちましょう!
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韓国のインプラント研修に参加
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回7月19日から21日にかけて韓国のソウルで行われた、インプラントのハンズオンセミナーに参加しに行って参りました。 このセミナーは、私が所属する国際口腔インプラント学会の海外セミナーになります。 今回のセミナーの講師の先生は、私が以前に名古屋で受講したセミナーの講師の韓国の大学の教授です。 前回の名古屋でのセミナーの様子 海外でのセミナー参加は初めてなので、とても楽しみでした。 しかも今回はただ聴くだけでなく、実習があります。 この国際口腔インプラント学会は臨床医、開業している先生が中心となって運営している学会なので、とても実践的です。 ソウルの金浦空港で交通手段はどうすればいいのか迷いましたが、バスで無事ホテルに着きました。 場所は江南地区にあり有名企業が集まるビジネス街です。明洞や南大門といった観光スポットとは離れたところにあるので観光客はあまりいませんでした。 さすが韓国、一流ホテルの中に美容外科が入っています! 韓国では美容外科はエステに行く感覚と同じなんでしょうね。 歯科のインプラント治療も噛めるようになるという機能的な側面と、見た目がとても綺麗になるという美容的な面があります。 そのため、韓国でセミナーが開催できるのでしょう。 coexインターコンチネンタルホテルのロビーに集合です。 空港についてからずっと韓国人しか見かけなかったので、ほっとしました。 首都ソウルにも関わらず、意外と日本人は多くないのですかね。 ここから歩いて5分のところに研修センターがあります。 韓国の最大手インプラントメーカーOsstem社のオフィスの中だそうです。 このセミナーの講師のCho先生です。1年前に名古屋でこの学会が主催するセミナーがあった時の講師の先生です。 実はCho先生はソウル大学の口腔外科の教授です。 口腔外科に所属していますが、インプラントを毎年なんと2,000本もオペしているインプラント治療のスペシャリストです。 韓国の最高学府であるソウル大学に所属しているからこそ、これほどまでに多くのインプラント症例があるのでしょうね。 日本の歯科医院では年間で100本もあれば、相当多いほうですから。 午前中の最初は講義です。一番前の席で一生懸命聴いてます。 この先生は英語と韓国語が喋れるのですが、主に韓国語を話して通訳の人が日本語に翻訳していました。 ちなみに通訳の人は韓国語が喋れる日本の歯科医師の先生でした。 午後から埋入の実習を行いました。インプラントはひたすら勉強と新しい技術の習得が必要です。 インプラントの治療方法自体はほぼ確立されておりますが、実際のインプラントのオペではさまざまなことが起こり、なかなか教科書通りには行きません。 我々インプラント専門医はどのような状況でも対処できるようにしなければなりません。 セミナー終了後に修了証の授与式がありました。韓国の大学の授与式のスタイルでしょうか。 このような衣装で修了証をいただけて、とても嬉しかったです。 次の日はソウル市内にある歯科医院を二軒見学する事ができました。海外の歯科医院を見学する機会などめったにないので貴重な体験です。 1件目の歯科医院です。ソウルスマイルフェイスデンタルクリニックという歯科医院で、高級ホテルのような雰囲気でとてもきれいでした。 奥の診察台で治療中みたいです。 ちなみに韓国ではインプラントはとてもポピュラーな治療法として認識されており、8割以上の歯科医院でインプラントを扱っているそうです。 2件目はデザインクリニックという歯科医院でしたが、ここではなんと歯の治療の傍ら、ネイルをすることができます! 本格的なネイル専用ルームがあるのにはびっくりしました。 素晴らしいアイデアですが、日本では法律上ちょっと不可能ですね。。。 今回のセミナーの日程は2泊3日しかなく、とても短かったため残念ながら観光はまったく出来ませんでした。 しかしインプラントの知識が深まり、また海外の歯科医院も見学することができたので、セミナーに参加して本当に良かったです。
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医は仁術
こんにちは、谷村歯科医院の谷村です。 先日、国立科学博物館の特別展『医は仁術』を見に行ってきました。 江戸の医学についての知識を深めることができましたよ。 私は趣味でよく博物館や美術館に行きます。 今回は歯科医学に関係がありそうなので興味があり早速行ってきました。 江戸時代の医学はどのようになっていたのでしょうか? 江戸後期に西洋医学が入ってくる前は日本の医学は昔から中国の影響を強く受けていました。 実際の臓器などの人体の構造はあまり重要視しておらず、どちらかというと目に見えない物、『気』を重視していて、この調和が崩れた状態を『病気』と言っていました。 医者が診察して診断後は患者の症状や状態に応じて薬を調合して処方していました。 この薬は日本の薬草を用いたものや、中国から伝わった漢方薬などがありました。 また針や灸などがポピュラーな治療方法で、それ以外にも医学とはいえない祈祷なども盛んに行われていました。 さらに漢方医学として中国の13世紀ごろの医学が取り入れてられていました。 江戸時代で有名な医学の出来事といえば『解体新書』でしょうか。 ドイツ人のAdam Kulmusが記した『ターヘル・アナトミア』のオランダ語訳を手に入れた前野良沢と杉田玄白が、江戸の死体解剖の際にこの本の図と実際の臓器の状態を照らし合わせたところ、ものすごく正確だったのでとても驚いたそうです。 このターヘル・アナトミアを4年かけて日本語に訳した解体新書が、我が国の初めての西洋医学書といえます。 山脇東洋が日本で初になる人体解剖を行い、その後人体解剖が各地に広まりました。 1804年(文化元年)に華岡青洲がなんと世界初になる全身麻酔下での乳がん摘出手術を行いました。 そして1823年(文政6年)にドイツ人医師のシーボルトが来日して最新の西洋医学を日本に伝えました。 医は仁術とは、「医は、人命を救う博愛の道である」という格言で、江戸時代に盛んに用いられたそうです。 また『仁』とは儒教から来ていて、"他を想う心"だそうです。 仁は身分制度が厳しかった江戸時代においても、身分の上下関係なく誰もが持つべき思想とのことです。 様々な難病を治療する様子が描かれています。真ん中の絵は歯を抜いているみたいです。 昔は歯が痛くなると抜くしかなかったのでしょうか? 江戸時代やもっと前の時代は抜歯のときに麻酔はどうしたのかとても気になります。 基本的にはこの絵に書いてあるように鉗子で力任せに歯を抜いていたみたいです。 麻酔らしい麻酔も無いので、「せ~の!」でいっきに抜いていたそうですよ。 しかしグラグラの歯ならともかく、そこそこしっかりしている歯はなかなか抜けません。 顎の骨というのは人体の骨の中でも一番硬いので、少しでも歯の根が引っかかっているとなかなか取れないのです。 この棒を歯に当てて、木槌でガンガン叩いて抜歯もしていたそうです。 つくづく江戸時代に生まれないでよかったと思いました。 これは江戸時代の入れ歯です。黄楊(つげ)の木でできています。お歯黒用なので歯の部分が黒いです。 当時の日本の入れ歯は世界で最も優れていたとのことです。 入れ歯作りを専門とする『入れ歯師』という職業があったそうです。 現代では入れ歯を作る際は、歯の型をとって模型を作ってそれをもとに作っています。 江戸時代でも蜜の蝋を用いて顎の方を取っていたそうです。 当時の入れ歯は顎にピッタリ吸い付く精度があったとのことで、日本人の器用さには驚かされます! 今回の特別展を見に来ている人は年配の人ばかりかと思っていましたが、意外にも学生や若い人も多かったです。 しかし、若い人をよく見るとみなさん医科関係の人みたいでした。 医師や医大生たちでしょうか?
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ホルモンバランスと歯周病の関係
こんにちは、谷村歯科医院の谷村です。 今回は、『ホルモンバランスと歯周病』です。 歯周病は体のホルモンバランスが崩れたときに悪化しやすいです。 これはどういうことなのか解説していきます。 1 歯周病とは? 歯周病(歯槽膿漏)とは、歯を支えている骨や歯ぐきが感染して炎症をおこし、腫れ、出血、痛み、グラつき、口臭といった症状が出て最終的には抜けてしまう、とても恐ろしい病気です。 最近ではこの歯周病が、心筋梗塞や脳梗塞、そして糖尿病など全身の命に関わる病気と密接なつながりがあることがわかっています。 歯周病は病巣が末期になるまで痛みや自覚症状があまりないので自分では気づきにくく、サイレントディズィーズと言われています。 そして30歳以上の約8割が歯周病にかかっています。そして50代後半から急速に歯周病が原因で歯を失うようになってしまいます。 歯を失う原因で一番多いのは虫歯ではなく、歯周病です。 この歯周病をいかに抑えるかが、歯を生涯残す鍵なのです。 2 歯周病の原因は? 歯周病は細菌感染です。歯垢、歯石の細菌が歯周病の原因です。歯に付着した細菌は歯垢という固まりになりますが、3ヶ月ぐらい立つと、唾液の中のカルシウムと結合して硬い歯石になります。 歯石はもはや歯ブラシで取り除くことができなくなってしまいます。 そしてこの歯石の裏には、酸素を必要としなくて毒性の強い歯周病菌が増殖していきます。 歯の表面につく白い歯石は『縁上歯石』といい、歯科医院では超音波の器械で容易に取り除くことができます。 しかしこの白い歯石の下に、腫れた歯ぐきから出た血液とつながった黒い『縁下歯石』ができます。 この縁下歯石が歯周ポケットを深くして歯ぐきに炎症を起こして、歯を支えている顎の骨を溶かしていくのです。 縁下歯石は器械を使ってもなかなか取り除くことができません。 取り除く際に痛みが強い場合は麻酔が必要ですし、ついている場所が構造上取り除くことが不可能な場合もあります。 顎の骨の支えのなくなった歯は歯ぐきだけでつながっています。この状態ではグラグラして物を噛むことは難しくまります。 そして最後には歯を失ってしまうのです。 3 ホルモンバランスとの関係は? ホルモンの中でも、特に女性ホルモンが歯周病と関わりがあります。 女性ホルモンが多くなると歯肉の血管の中の血流量が増えて、腫れたり失血しやすくなります。 そうなると傷口から歯周病菌が入り込み、重症化しやすくなります。 女性ホルモンの変化が大きい時期は、妊娠と出産の時期でしょう。 よく、「出産したら子供に栄養を取られて歯と歯ぐきが悪くなった」などということを聞きます。 これは全くの間違えで、ホルモンバランスの変化と、つわりで嘔吐することで胃酸が口に残って酸性になり、歯が溶けたりするためです。 さらに、気持ち悪くて歯ブラシがおろそかになってしまい、口の中の衛生環境が悪化することも大きな原因です。 また更年期になると、女性は体調が大きく変わります。 これには女性ホルモンが関わっていて、骨粗鬆症の薬であるエストロゲンも女性ホルモンの一種です。 骨粗鬆症とは、骨の中のカルシウムが溶けて骨密度が低くなる病気です。 骨粗鬆症の治療薬は、骨を溶かしていく破骨細胞を作用を止めますが、骨をつくる造骨細胞の発生も抑えてしまうのです。 そのため、この時期も歯周病に羅患する可能性が高まると言えます。 このように女性は男性よりも歯周病になりやすい条件が揃っているので、注意が必要です。 歯周病で顎の骨が吸収していくと、骨を再生することはほぼ不可能です。 もちろん男性もお口のケアを怠れば、歯周病で歯を失いますので頑張って毎日歯ブラシを欠かさないようにしましましょう。
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今年も米国レーザー歯学会に参加
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 2月26日から3月3日まで、昨年も参加した米国レーザー歯学会 (Academy of Laser Dentistry :ALD) の年次大会へ参加しに行って参りました。 昨年の学会の様子はこちら 今回の目的は最新技術の習得と、より上のクラスの資格の試験を受けることです。 ちなみに昨年習得した資格は、カテゴリー2という標準的な認定医の資格でした。 標準的とは言え、アメリカの学会の認定医なので全て英語で試験も筆記と実習があり大変でしたが。 今回受ける試験は、カテゴリー3という指導医クラスの資格です。 内容は桁外れに高度で、3つのテストをパスする必要があります。 1 30分以内にレーザーに関して100項目を説明しながら処置を実演するテスト。 2 2時間以内に175問を解くオンラインテスト。 3 5症例を集めて論文にして発表するテスト。 これらすべてを85%以上正解しなければなりません。(もちろんすべて英語です。。。) 何年もかかりますし、最低でも2年は学会に参加する必要があります。 今回は1のテストを受けに行きました。 今年の開催場所はアリゾナ州のスコッツデールという、空港のあるフェニックスから車で30分の所です。 会場に向かう道路はひたすら原野が広がっていて、漫画に出てきそうなサボテンがたくさん生えてます。フェニックスの街並みを過ぎるとずっとこの景色です。 途中にフェンスで囲まれたネイティブアメリカンの居住地がありました。 学会会場のホテルに着きました。到着して早々チェックインする前に、そのままスーツケースを持ったまま学会会場に直行してテストを受けに行きます! しかし残念ながら登録がギリギリ間に合わずテストがすでに始まっていました。 すごくがっかりしましたが、幸いにもスケジュール調整をしてもらい、テストは後日に受けることができそうなので一安心です。 いったんホテルに戻ってチェックインして、部屋でばったんぐーです。 翌日から学術大会が始まりました。時差ぼけと寝不足でフラフラです。 コーヒーが用意されているので受講中に寝ないように1日中飲み続けです。 前回持参した電子辞書は10年前のものだったので、新しく買いなおしました。 新しい電子辞書は医学辞典が入っていてすごく役立ちます。これがないと専門用語はわかりません。。。 夕食後は日本人の先生がみんな指導医の永井先生の部屋に集まって、夜中の2時まで勉強会です。平均睡眠時間2時間!みんな時差ボケと寝不足でふらふらです。。。 実技試験の試験会場です。開始時間は2日目の朝7時から!相変わらず早すぎ~ 試験官が2人座り、採点します。ここでレーザーについての安全管理や設定方法、治療内容の説明とブタの骨を使って実際のデモを行います。 昨年はスタンダードの試験で同じことをしましたが、試験官がいろいろを誘導してくれましたのでまだ楽でした。 しかし今回は指導医の試験のため、試験中は何も言ってくれません。 自分で正確に必要なことを説明して、正しいやり方でレーザーの処置をしなければなりません。 学会最終日に、表彰式と試験の合格者発表がありました。 自分の名前が呼ばれたときはとてもうれしかったです! 頑張ったかいもあり、今回も無事パスすることができました。 今年もまたまた主催者の一人であるJhonと一緒に写真を1枚。 このJhonさんが試験のコーディネーターで、いろいろとみんなの世話をしてくれました。 一緒に受けた先生方と、指導医の永井先生。 今年も大変お世話になりました。 昨年の学会はものすごくハードでしたが、今年はさらに輪をかけてハードでした。 しかしまだ、オンラインテストと症例発表が残っていますので、来年も頑張ります!
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最強の光照射器
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 歯科治療では詰め物や接着剤を固めたりするのに、光照射器を使用いたします。 材料の成分の中に特定の色(波長)に反応して固まる物質が入っていて、それによりペースト状だった詰め物や接着剤が固形状に変化します。 この固まるまでの速度は波長と明るさと温度に左右されて、特に明るければ明るいほど固まる速さが早くなります。 当院では、2年前より国産メーカーでいちばん明るい照射器を使用しておりましたが、このたび、光殺菌装置と同じメーカーの光照射器を導入いたしました。 デンマークのCMS Dental社のFlashMax P3です この照射器は当院の国産最大照度の照射器(2000 mW/cm2)よりもさらに2.5倍も明るいのです。(5000-6000 mW/cm2) 詰め物を固めるのに通常は照射器を当てて20秒かかりますが、これを使うと、なんとたったの1秒でかたまります! そのため患者さまがお口を空ける時間が少なくて済み、患者様の負担軽減につながります。 たかが20秒ぐらいと思われるかもしれませんが、歯の治療では数秒違うととても治療の効率が上がります。 私は3秒でも長いと感じてしまいます。。。 詰め物で治療を行う場合は、虫歯を削り取った後に次のような手順が必要です。 1 歯の神経を保護するセメントを神経に近い部分に塗って光を当ててセメントを固める 2 詰め物が歯にくっつくように接着剤の液を塗って光を当てて固める 3 最後に詰め物を詰めて光を当てて固める 4 削った部分が大きい時は2~3回に分けて光を当てたり、歯の色に濃淡ある場合は詰め物の色を何種類かに分けてそれぞれ照射して固める また治療する歯が1本ならともかく、一度に3本ぐらいまとめて治療したり歯のいろいろな場所が虫歯だったりすると、それだけ詰め物を詰める時間が長くなります。 例えば8か所ぐらい詰めるとしたら、昔はこれらの手順を行うと光を当てている時間だけで5分ぐらい必要でした。実際にはつけたり消したりの動作があるので時間はもっとかかります。 しかしこの照射器ならば光を当てている時間は、全部で1分もかかりません。 歯の治療の予約は30分毎なので、この違いはとても大きいのです。 当院にやってきた光照射器のFlashMax P3です。 先日購入した同じCMS Dental社の光殺菌装置FotoSanとそっくり同じ形です。 光殺菌装置のFotoSanも光照射機ですが、殺菌効果のある液に反応する赤い波長の照射器でした。 ボタン周りの軟らかいシリコン部はFotoSanはオレンジでしたが、この照射器はブルーです。 それではさっそくスイッチ・・・オン!! すごい光量です。こちらもFotoSanと同じく眩しすぎて、直視できません! 私が大学を卒業してすぐの頃は光照射器はハロゲンライトであまり明るくなくて波長も合っていないので、詰め物が固まるまで40秒ぐらいかかりました。 白熱球なので球切れがあったり、紫外線成分が目に有害なのでオレンジの大きなシールドを付けていたり私もアシスタントも照射中は光を見ないように顔をそむけていました。 その後は車のヘッドライトに使用されていたHIDランプを光源とした光照射機が販売されました。 こちらはハロゲンライトよりもかなり明るかったのですが、器械がとても大きく、また高価でした。 15年ぐらい前に初めてLEDのペン型の照射器が発売されたときは小ささと手軽さに感動しましたが、当時のLEDはとても暗くて1分しても詰め物が固まらずとてもではありませんが使い物になりませんでした。 それがだんだん明るくなって20秒ほどで硬化が可能になり、ついには1秒です。 さらにここまで明るくはありませんが、中国の歯科機器メーカーが販売している光照射機はとにかく安いです。 テクノロジーの進歩の速さにはとても驚かされます!
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歯磨き粉の種類について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 前回は、『歯ブラシの種類』について解説しましたが、今回は歯ブラシをする際に欠かせない『歯磨き粉』について説明いたします。 薬局やスーパーに行くと、歯ブラシと並んでとても多くの種類の歯磨き粉が売っていてどれを買ったらいいのか迷ってしまいますよね。 歯磨き粉のパッケージには実に様々な効果が書いてあります。 なかには歯磨き粉を使わずに毎日歯ブラシをしている人もいますが、基本的には歯磨き粉をつけて磨いたほうがいいでしょう。 ごくまれに塩だけつけて磨いているという方もいらっしゃいます。たしかに塩化ナトリウムは歯ぐきを引き締める効果がありますが、結晶状だと歯肉を傷つけますのでおやめください。 1 歯磨き粉はなぜ使う必要があるのか? 現在市販されている歯磨き粉には次のようなさまざまな効果があります。 そのため、歯を磨く時には歯磨き粉を適量つけましょう。 〈歯磨き粉の効用〉 ・歯垢を落としやすくする ・歯ぐきからの出血や炎症を抑える。 ・口臭を取り除く ・口の中をさっぱりさせる ・歯の汚れを取る ・歯を白くする ・知覚過敏を抑える ・口の中を殺菌する ・初期虫歯を再石灰化させる 虫歯予防としては、歯磨き粉の成分にキシリトールを入れて、虫歯菌が歯を溶かす酸を作らないようにする効果があります。フッ素を入れると歯の表面を酸に対して強くする作用があります。 また、ハイドロキシアパタイトを配合して、顕微鏡レベルの初期虫歯を再石灰化する効果があります。 歯周病予防としては、デキストラナーゼを配合して歯垢を分解する効果や、トラネキサム酸で腫れている歯ぐきを引き締める効果があります。 最近は機能に特化した歯みがき粉が薬局で多数販売されています。 一番多いのが虫歯予防、次が歯周病予防です。 さらにホワイトニング効果や着色除去効果を謳ったものも販売されています。 2 歯磨き粉の成分は? 歯磨き粉は主に次のような成分でできています ・薬効剤 虫歯予防や歯周病予防などの成分 ・発泡剤 泡立って口の中に広がりやすくする。少ないほうがいい ・研磨剤 歯を痛めるので少ないほうがいい ・湿潤剤 歯磨き粉のペーストを湿潤状態にする ・香味料 歯磨き粉に味をつける ・着色料 歯磨き粉に色をつける タバコのヤニ取りの歯磨き粉などは真っ黒で頑固なタールを落とすために研磨剤が多く含まれていますが、歯や歯茎を痛めるのでおすすめしません。 また香味料も口の中がさっぱりするので、まだ歯垢が取り切れていなくてもきれいになった気になってしまうため、香味料は少ないほうがいいでしょう。特にメントール系の味は口に入れた瞬間にすでに磨き終わった気になってしまいます。。。 発泡剤も口の中の歯みがき粉が泡状になることで気持ちいのですが、泡立ちが少ない歯みがき粉のほうがいい歯みがき粉です。 湿潤剤が少ないとペーストが固まってしまいます。 着色料は歯みがき粉に色を付けてストライプにしたりしていますが薬効的にはまったく意味はありません。 3 歯磨き粉の使い方は? 歯磨き粉を歯ブラシに適量つけますが、大量につけても効果は変わりません。 逆に歯磨き粉の清涼感で、磨けていなくても磨いた気になってしまうので注意しましょう。 当院では歯周病予防効果のあるものと、知覚過敏を抑制する効果のあるものと2種類の歯磨き粉を販売しています。 虫歯予防、歯周病予防、知覚過敏抑制の3つの効果があり、泡が少ないので磨き残しを少なくする効果があります。 ここで決して誤解しないでほしいことは、歯磨き粉の成分では病気を治すことはできません。 大きな虫歯が治ったり、深い歯石が綺麗になくなるわけではありません。 やはり何かあったら早めに歯科医院で診てもらうか、定期検診を欠かさないようにしましょう!