MTAについてお話しします

 

こんにちは、歯科医師の鈴木です。
今回は歯科の材料の『MTA』についてお話しします。

MTA(mineral trioxide aggregate)とは?
MTA材料はバイオセラミックスという材料です。
30年前より科学論文で発表され現在まで使われているバイオセラミックスです。
では、バイオセラミックスとはどのようなものかご説明致します。

バイオセラミックスとは?
バイオセラミックスはバイオマテリアルとセラミックスが混ざっている材料になります。

バイオマテリアルとは?
生体システムの一部を置き換えたり、生体組織と密接に接触しながら機能したりすることができる合成または天然の材料です。
いわば、身体に使う材料はすべてバイオマテリアルで、歯科材料や化粧品がふくまれます。

セラミックスとは?
無機材料の焼結体・ガラスなどで金属や高分子と比べて生体内で安定し生体組織との親和性が良く、腐食や拒絶反応がほとんど認められない材料になります。

つまりバイオセラミックスとは、『生体に直接接触した状態で失われた生体機能を回復しうるセラミックス』の総称です。

次にバイオセラミックスの種類について解説いたします。

バイオセラミックスの種類
①生体不活性セラミックス
②生体活性セラミックス    ←MTAはこの種類になります。
③生体吸収性セラミックス

MTAの中身
75% ポートランドセメント
20% 酸化ビスマス(Bi2O3)→造影剤
5%  硫酸Ca二水和物と石膏

ポートランドセメントとは?
ケイ酸三カルシウム  3CaO・2SiO2・3H2O+3Ca(OH2)
ケイ酸二カルシウム  3CaO・2SiO2・3H2O+Ca(OH2)
アルミン酸カルシウム 3Ca4(AlO3)2d2(SO4)+12H2O

上記のケイ酸三カルシウムとケイ酸二カルシウムに含まれる黄色の文字で示した所がCa(OH2)は水酸化カルシウムとなり、この成分は通常歯科治療で根の治療の薬品で身体に優しく更に殺菌作用や歯のような硬い素材を作らせる硬組織誘導能があります。
アルミン酸カルシウムはエトリンガイドという物質を作りこれがコンクリートのような役割をして封鎖性を高めます。
また水で固まる水硬性の性質があるのも特徴です。

これをふまえたMTAの性質としてあげられるのが、
①封鎖性が高い
②生体親和性が高い
③抗菌作用
④硬組織誘導能

です。
とても歯科材料としてはかなり効能がある材料になります。
ではどのようにMTAは歯科治療の中で使われるのかを説明していきます。

歯科治療でMTAが使われる処置
①根の治療で歯に穴が開いてしまった場合、MTAは強度の封鎖性があるため、穴をふさぐ治療によく使われます。
穴の大きさにも予後の良さは左右されますが、とてもいい治療になります。
②虫歯の治療で非常に神経に近い、もしくは神経が一部出てしまった場合、MTAは硬組織誘導能があるのと封鎖性があるため、神経が出てしまったもしくは神経すれすれの所に歯の方をしっかり消毒して、その患部に塗布することでその歯の神経を生かせるとてもいい治療になります。
③根の治療の際に、最終的な詰め物をする際、まずMTAを歯の根の先に置けば封鎖性があるため質のいい歯の最終的な根の治療が出来ます。
この治療を『根管充填』といいます。
④専門的な話になりますが、歯科治療で、再植や歯根端切除術の際の根の先の封鎖に使えます。

以上、歯科治療上での様々な複雑で精密な治療が行えることをご説明致しました。
更に、当院では、院長先生は必ず③の根管充填の際にMTAを使っております。

今までお話ししたように、MTAは殺菌作用や封鎖性が高いことそして硬組織誘導能がありますので、より質の高い根管充填をなさっております。

尚、④の専門的な外科手術を伴う場合、適応かどうか院長先生と判断しており外科担当しております鈴木が外科手術を行います。

このように、当院ではより歯を残す、より歯の神経を残すような治療精神で患者様にとってより良い治療を日々行っておりますので、何かご不明な点がございましたら何なりとお申し付けくださいませ。

歯科医師・歯科口腔外科医 鈴木孝美

 

 

谷村歯科医院
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