BLS(一次救命処置)について
こんにちは、歯科医師の鈴木です。
今回は筆者が先月受講したアメリカ心臓協会(AHA)によるBLS(一次救命処置)についてお話ししたいと思います。
皆さま、突然家族やご友人または通りがかりの方が倒れたら、びっくりされますよね。
でもご安心下さい。どんな方でもこの基礎知識と訓練を受ければ命を助ける救助者になることができます。
突然の心臓の停止はその予防に関してものすごい進歩を遂げているにもかかわらず、多くの国では依然として死亡原因の第一位であり、過半数は目撃者のいない場所で起きています。
もしも突然人が意識なく倒れていたら(傷病者を発見したら)、このブログを読んで下さっている皆さまにも命を助ける事ができますので、最後までお読みいただけたら幸いです。
救命の連鎖
救命の連鎖とは心臓が止まっている患者さんに対して、一つ一つの行動は独立していますが、その行動は前後とつながり鎖のようにつながっています。
この時にいわゆる質の高いCPRを必要とします。
質の高いCPRとは
・心臓の停止を認識してから10秒以内に胸骨圧迫を開始する。
・胸骨圧迫を100~120回/分のテンポで行い、成人の場合は5㎝の深さまで圧迫する。
・圧迫を行うたびに胸が完全に上がったのを確認する。
・有効な人工呼吸として傷病者の胸がしっかり上がるように1秒かけて換気を行う。
・救助者が一人の場合胸骨圧迫30回が終わったら人工呼吸2回のペースで行う。
実際に人が倒れていたらどのように行動するか示します。(成人の場合)
1 現場の安全を確認する
助ける人(救助者)と倒れている人(傷病者)両方にとって現場が安全であるか確認します。
2 反応があるか確認する
傷病者の肩を軽く叩き、「大丈夫ですか?」と大きな声で尋ねる。倒れている人に反応がない場合には、携帯電話から119番に連絡をして、AED(自動体外除細動器)を取ってくるか、他の人に声をかけて取ってきてもらう。
3 呼吸と脈拍を確認する
傷病者が正常に呼吸しており脈拍を触知できる場合はそのまま傷病者の経過観察を続けます。
傷病者が正常に呼吸していないが、脈拍は触知できる、または脈拍がない場合は、直ちに質の高いCPRを開始する。
4 質の高いCRPを開始する
胸骨圧迫30回行ってから、人工呼吸2回を行いこれを続ける。AEDが届いたら直ちに使用する。
5 AEDを使用する
《AEDの使い方》
・傷病者の胸をはだけてAEDパッドを貼る。(パッドに書かれている貼り付けの位置の図に従う)
・パッドを貼ったらAEDに心臓のリズムを解析させるため、大声で「離れて!」と指示する。
この時に救助者の一人が人工呼吸を試みている最中でもAEDが「ショックを行います」と音声メッセージを知らせた場合、必ず再度「皆さん離れて!」と大声で指示し、誰も傷病者に接触していないことを確認したら、ショック(Shock)ボタンを押す。
6 AEDにより電気ショックの実施後、もしくはショックが必要ではなかった場合、胸骨圧迫から直ちに質の高いCPRを再開する
7 CPRを約5サイクルまたは2分間行った場合、もう一度AEDを使うようにAEDから音声メッセージが流れるため、指示に従いAEDを使用する
8 救急車が到着するか、傷病者が動き出すまで、CPRの実施とAEDの使用を継続する
以上の動作を救助者が二人以上いる場合や一人だけの場合やり方が違ってきますが、この動作を連続して行うことが大切です。
筆者は先月にこのコースを受講して、実際に体験しましたが、胸骨圧迫の深さ5センチとは、かなり難しくしかもテンポよく30回行うことの難しさを体感しました。
しかし、このコースを受講して改めて一次救命処置の大切さが分かり、どんな場所で救助者に出会っても、命を助ける処置ができることに感銘を受けました。
もし、皆さまの中でご興味がある方がいらしたら、このコースを受講すると精密な知識が得られます。
当院でも院長がAEDの重要性を考慮してAED機器を院内に配置しておりますので、AED設置場所として地域の皆さまや患者さまのお役にたてると思います。
鈴木孝美