子どもの虫歯

みなさんこんにちは。
きょうは『子どもの虫歯』についてお話ししようと思います!

子供の虫歯について説明する前に、みなさんは虫歯ができる原因はご存知でしょうか。
むし歯の原因には、『歯の質』『糖質(砂糖など)』『細菌(ミュータンス菌)』の3つの要素があります。
これらの3つの要素が重なると、時間の経過とともにむし歯発生につながります。
砂糖を摂りすぎないようにすることや、しっかり歯みがきをして、フッ素でむし歯を予防することが大切です。
歯が弱い方でも、他の2つの要素、糖分を抑えて歯ブラシをすることで虫歯にならないようにすることができます。


子どもの虫歯の原因について


子どもの虫歯は基本的には大人の虫歯と同じですが、原因について少し違いがあります。
まずおやつの摂取量が一般的に大人より多いです。
特に食事と食事の間に食べる、『だらだら食い』は虫歯の原因になります。
同じ砂糖の量でも一度に摂取するより、だらだら食べをするほうがむし歯になる確率が上がります。
さらに子どもが大好きなアメやガム、グミ、チューブ入りアイスキャンディなどは、お口の中に糖分が残りやすく、だらだら食べになりやすいので注意が必要です。

また胃が小さくて1回の食事量が少ない幼児期は、食事以外の時間でおやつを食べて1日の栄養素を補う必要がありますが、「10時と15時」など時間をしっかり決め、1皿に盛った量だけですますようにしてください。
食が細いからと言ってちょこちょこ与えていたり、スナック菓子やジュースを子どもが欲しがるからと言っていつも与えているとあっという間に虫歯になってしまいます。


そして、意外と糖分の多いもの、みなさんご存知でしょうか。
糖分の多さに気がつきにくい飲み物や食品に注意しましょう。
一見体によさそうなスポーツドリンクや乳酸菌飲料には砂糖がたっぷり入っています。
レモネードなどもともと酸っぱいものを甘くするためには大量の砂糖が必要です。
これらの飲食物を与えるときは必要最小限の量にとどめましょう。


みりん、ウスターソース、オイスターソース、ケチャップ、カレールーなど味が濃い調味料も、糖質の含有量が高いことで知られます。
調味料もかけ過ぎは虫歯だけでなく、成長期のお子さんにも体に良くないので気をつけましょう。
また、菓子パンや果物の缶詰は、食べやすい上に糖質がきわめて高いので、量に注意しましょう。
菓子パンはただでさえ炭水化物の塊であるパンを更に砂糖などで甘くしているので極めて歯には良くないです。
口の中にいつまでもとどまり虫歯の原因になってしまいます。
果物の缶詰はシロップ漬けになっていることが多いです。
食べすぎないようにするだけでなく、軽く水ですすぐと砂糖の甘味が取れてさっぱりと食べられて、歯にも優しい果物になります。


子供の歯の質について


子供の歯の特徴として大人と大きく違うのは、乳歯が存在しているということです。
一般的に乳歯は1歳6ヶ月ぐらいから生えてきて、6歳になる頃には永久歯が生えてきます。
そして、乳歯が脱落して、代わりの永久歯が生えてきて、12歳ぐらいに親知らずを除く全ての永久歯が生え揃います。
ちなみに親知らずは18歳から25歳ぐらいに生えてきますが個人差が大きかったり、斜めに引っかかって途中までしか生えてこなかったり埋まって全く出てこない場合が多いです。


お口の中の環境が次々と変わる子供の頃は、ちょっとした不注意で虫歯になってしまうことが多いです。
特に乳歯や、生えたばかりの永久歯は歯の質や硬さが未成熟で歯の表面が粗く汚れがつきやすいため、むし歯になりやすいので注意が必要です。
また歯の交換時期である6歳から12歳頃は食べ物が挟まりやすいので、歯ブラシもていねいにする必要があります。


子供の虫歯の予防方法は?


歯が生え始めてからは食後はお母様、お父様がガーゼで丁寧にお口の中を拭ってあげましょう。
2歳ぐらいからは歯ブラシでしっかりと歯垢を落としましょう。
3歳から4歳ぐらいからは自分で歯ブラシをさせて、その後保護者の方が仕上げ磨きをしてあげて下さい。
特に寝る前の歯ブラシは虫歯予防に効果的です。
くれぐれもお菓子が口の中に入ったまま、お子様を寝かせるようなことはしないようにして下さい。
これだけでもかなり虫歯を防ぐことができます。

もし可能でしたらさらにデンタルフロス(糸ようじ)も使うと効果的です。
ただし乳歯はとても小さくて歯と歯の間も高さが低く、唾液も大量に出てくるので、デンタルフロスは少し難しいかもしれません。
歯磨き粉に関しては、子供用のフルーツのフレーバーがついたもので問題ありません。
大人用の歯磨き粉の方がいいというお子さんでは、大人用の歯磨き粉を使用していただいて構いません。


歯科医院でできる虫歯の予防方法は?

歯科医院では、お口の奥や裏側などご家庭ではチェックできないところまで確認いたします。
歯ブラシ指導をしたり、細菌の塊である歯垢や歯石を取り除きます。
その際に年令が5~7歳ぐらいで、治療に対して協力ができないお子さんの場合は当院では診察が難しい場合があります。


また、虫歯予防のために、『フッ素』を塗布すると、歯の表面に虫歯や酸に対して抵抗力のある被膜を作ることができます。
フッ素の効果は約1から3ヶ月ほどなので、大人と同じで歯垢が歯石になるタイミングの3ヶ月毎の検診をおすすめします。


フッ素はどのような働きで虫歯を予防するのか?

フッ素の働きは大きく分けて3つあります。

①虫歯になりかけた歯(初期虫歯)を元に戻す作用がある


食事をしたりジュースなどを飲むと食品やジュースの中の酸によって歯に含まれるカルシウムやリンなどのミネラルが溶けだします。
しかし通常の場合は、唾液が働いてすぐに溶けだした成分を元に戻します。
この働きを『再石灰化』といいます。
この歯の溶け出した部分の再石灰化を助けるのがフッ素です。
唾液中にフッ素イオンが存在していると、溶けだしたカルシウムが通常より多くエナメル質に再度吸収されます。
フッ素は再石灰化を促進し、歯の溶けた部分の修復を促します。
これによりでき始めの初期虫歯を修復して、健康な歯を保ってくれます。

②虫歯菌が出す酸の生成を抑制する


フッ素は虫歯菌の活動を抑制する働きも持っています。
フッ素は虫歯菌の出す酸の量を抑えることができるため、酸により歯が溶かされることがなくなり、虫歯を予防することができます。

③虫歯になりにくい、強い歯の質になる


歯の再石灰化にあたり、フッ素は歯の表面のエナメル質の成分と結びついて『フルオロアパタイト』という、虫歯菌の酸に対して非常に強い構造になります。
この働きによりミネラルが溶けだしにくく、今までよりも虫歯になりにくい強い歯になります。


フッ素は、いつ、どのように取り込めばいいの?


フッ素は生えたばかりの歯に塗布するのが、最も効果的です。
乳歯でも永久歯でも生えてすぐの歯はフッ素を多く取り込みやすいので、この時期に塗布しておくとそれだけ丈夫な歯になります。
歯科医院ではフッ素は溶液になっていて、ガーゼなどに浸して歯に直接塗布します。
フッ素を塗ったあとは1時間ほど飲食をしないようにして下さい。


0-2歳は、上の前歯の歯と歯の間、歯のつけ根の部分、3歳以降は、奥歯の溝、奥歯の歯と歯の間が虫歯になりやすいです。
下の乳歯が生え始めたら定期的に歯医者に通うようにして、上下前歯が生えてきたらフッ素塗布できると良いでしょう。


まとめ

このように、子供の虫歯は、大人と比べて非常にできやすい環境にあります。
しかし、歯ブラシを丁寧にしたり、フッ素を取り込むことで、子供の歯を虫歯から守ってあげることができます、
また歯ブラシのときに使う歯磨き粉も見直してみるといいですね。
歯磨剤の成分表に『モノフロオロリン酸ナトリウム』『フッ化ナトリウム』と記載のあるものを選ぶようにしましょう。
歯科医院で塗るフッ素よりも濃度は低くなりますが、普段からフッ素を取り込むことができます。


乳歯のうちから虫歯になりにくい歯を作ることはとても大事です!
仕上げ磨きもしっかりしてあげてくださいね^ ^


DH 渋谷