アナフィラキシーについて

皆様こんにちは、歯科医師の鈴木です。
まだまだ続くコロナ禍で皆様もコロナワクチン接種された方々もいらっしゃると思います。

当院の院長も歯科医師のコロナワクチン接種接種手として登録しております。

今回はコロナワクチン接種により、毎日、テレビなどで『アナフィラキシー』という言葉を耳にする機会も増えたと思いますので、アナフィラキシーとアナフィラキシーショックについてご説明致します。



アナフィラキシーとは

アレルゲン(薬、食物等)の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応


アナフィラキシーショックとは
アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合


と定義されております。



アナフィラキシーの語源を知るとよく分かり、体の防御系(Phylaxis)が、反対に(ana)生命の危険をもたらすことに基づいています。
昔から、ハチ毒や食べ物により発症することは知られていましたが、2010年ごろから世界的に診断基準を整理して、ずっとアナフィラキシーのガイドラインがなかったのですが、2013年に一般社団法人日本アレルギー学会においてアナフィラキシーをまとめて考察するようになり、2014年に日本の実情に合わせたアナフィラキシーガイドラインが作成されています。



アナフィラキシーガイドラインの診断基準では

1.皮膚症状または粘膜症状のいずれかが存在し、急速に発現する症状で、かつ呼吸器症状、循環器症状の少なくとも1つを伴う

2.一般的にアレルゲンとなりうるものへの曝露の後、急速に発現する皮膚・粘膜症状、呼吸器症状、循環器症状、持続する消化器症状のうち、2つ以上を伴う

3.当該患者におけるアレルゲンへの暴露後の急速な血圧低下


の3項目のうちいずれかに該当すればアナフィラキシーと診断します。


このガイドラインに沿って説明しますと、ありとあらゆる薬剤でアナフィラキシーは発症する可能性があり、今までの統計を見ると、造影剤、抗菌剤、筋弛緩剤において発症する例が多いとのことです。
過去に複数回安全に使用した薬剤でも、あるときにアナフィラキシー、アナフィラキシーショックを発症した例もあり、この、アナフィラキシーの発症を予測することはとても困難であるといえます。

ただ、このアナフィラキシーの何らかの症状が出現し始めたのが、5分以内であるという事はよく分かっており、時間が短いことから、医師、歯科医師が常にアナフィラキシーの出現は注視できると言い切れます。
私たち歯科医師は、よく歯茎に局所麻酔をして歯科治療しますが、常にこのことを考えて、麻酔をした後の患者さまの状態を注視しています。

今回のコロナワクチン接種も、接種会場や接種した病院内で、15分は皆さま待機されたと思いますが、このアナフィラキシーの出現を素早くみつけるために、安全に接種が行われるようにとの理由で待機して、常に医師が皆さまの変化に気をつけているのです。


ここまで読むと、アナフィラキシーとはすごく怖いと思われると思いますが、アナフィラキシーの第一選択薬がしっかり分かっており、少し専門的な話になりますが、アドレナリン0.3mgの筋肉注射であります。
このアドレナリン0.3mgを太ももの外側に筋肉内注射する、とのことが推奨されております。



コロナワクチン接種により、より私もこの機会にアナフィラキシーについて再度勉強できました。

日常の診療においても、当院ではどのお薬でアレルギー症状が出たのかを問診の時に拝聴して、常に診療内での患者さまの状態を注視しております。
これを機に、当院でもアドレナリンを用意して、どんなにお具合いが悪い時にも対応できるように、スタッフ一同身を引き締めております。