妊婦さんの歯科治療について


みなさんこんにちは。
梅雨明けももうすぐ近づいてくる頃でしょうか。

体調も崩しやすいので、コロナ対策はもちろん、体調管理をしっかりとしましょうね!


さて、今日は『妊婦さんの歯科治療』についてお話しさせてください。

よく妊婦さんでも歯の治療に行きたいのに心配事が多く、「歯医者に行ってもいいのかな?」と迷ってしまう方が多いと思います。
そこで少し詳しくお話いたします。


妊娠すると口内環境が変化して、むし歯や歯肉炎などのトラブルが起こりやすくなるのは本当です。
まず、妊娠をすると女性ホルモンが増加します。

その影響で歯ぐきが腫れやすくなったり、出血しやすくなったりします。

また、だ液の量や質が変化するので、だ液の量が減少して口の中がネバネバしやすくなります。

だ液の量や質が変化することで、だ液の働きも低下してしまうので、口の中の細菌が増えやすくなります。

口の中もむし歯になりやすい酸性に傾きやすいので注意が必要です。


特につわりがある方は要注意です。

「つわり」が原因で、歯ブラシを口の奥まで入れるのが難しくなり、うまくみがけずに不衛生になりやすくなります。

また、食べものを口に入れていないと気持ち悪くなる「食べづわり」の人は、間食のペースが増えてむし歯のリスクが高まります。
妊娠後期になって胃が子宮に圧迫され、食事を少しずつしか食べられない時期も、食事の回数が増えるので必然的にむし歯になりやすくなります。


女性ホルモンの影響によって、これまで口のトラブルがなかった妊婦さんでも、口の中の環境が悪くなりやすいです。

不衛生になり、口臭や口内炎に悩まされる人もいます。
親知らずの周辺が炎症を起こす『智歯(ちし)周囲炎』になる妊婦さんもいます。

親知らずが横や斜めに生えてきた人は、ただでさえ汚れが落ちにくいのですが、妊娠時はつわりや体調不良によってみがく回数が減ったり奥のほうを丁寧にみがけなかったりするので、腫れて痛みが出やすくなります。


また、口内環境が不衛生になり、歯周病になると、早産や低体重児出産のリスクも高くなりやすいといわれています。
歯周病になると、歯茎が腫れたり、出血もあります。

口臭の原因にもなってしまいます。なので、このような症状が出てしまって気になる方は、一度歯科検診をおすすめします。
体調が安定してくる妊娠中期(妊娠5~7カ月くらい)の受診をおすすめします。

妊娠初期や後期に、歯科を受診できないわけではありませんが、妊娠初期はつわりがひどかったり、流産の可能性があるなど母体が不安定な状態ですし、妊娠後期はおなかが大きくなるので、あおむけの姿勢がつらい場合がありますので、妊娠中期をお勧めいたします。

虫歯の治療に関してですが、受診の際に、妊娠中であることを歯科医に伝えてください。

妊婦さんが使っても大丈夫な薬剤を使ったり、短時間で済む処置を行うなど、母体に配慮した治療が行われます。

麻酔は大丈夫なのか、不安になる方も多いと思いますが、基本的に歯科治療の麻酔は、局所麻酔になりますので、胎盤を通して赤ちゃんに届くとうことはないのでご安心ください。
とはいえ、心配な方も多いかと思いますので、大掛かりになりそうな治療は、よっぽど痛みが出てたり緊急性が無ければ、急がずにご出産後、落ち着いてからの治療開始が望ましいかと思います。

また、もし妊娠糖尿病や妊娠高血圧症、貧血、おなかの張り、薬のアレルギーなどで産科の主治医の先生から注意をされていることがあれば、必ず歯科医にも伝えてください。

歯科と産科が連携を取り、治療を進めることになります。

逆に、親知らずの抜歯など大がかりな歯科治療を行う時は、産科の先生にも伝えておくと安心です。


産後も、赤ちゃんのお世話でなかなか時間が取れずに、つい自分のことは後回しになりがちだと思いますが、時間が取れる時に、歯科検診に足を運んでみてください。


歯科衛生士 渋谷