根面う蝕について

みなさんこんにちは。
最近CMで、『歯の根元は虫歯になりやすい』と、流れていますよね。
みなさんのお口の中は、歯肉が退縮して、歯の根元が見えてきていませんか?
歯肉退縮は加齢と共に生じる現象でもありますので、どの方も歯肉退縮する場合があります。
歯肉退縮して歯の根元が見えてきているところは、虫歯になりやすい部位になります。
40%近くの高齢者に頻発する特徴的なう蝕病変(虫歯)でもあります。


歯の根元の虫歯『根面う蝕』は、どういった治療になるのでしょうか。


根面う蝕への対応は3つあります。


まず1つ、経過観察です。
非活動性病変の場合は、そのまま経過観察することがあります。
見た目(審美性)など気になるときは、すぐ治療もします。


次に2つ目、修復処置です。
活動性のう蝕病変で、明確な実質欠損がみられたり、口腔清掃実施の妨げになったり、審美的な問題が著しい場合や、さらに進行することが予測される場合には修復処置(削ってつめ物で埋める処置)の対象となります。
根面う蝕の治療部位は、咬合力による歪みが生じやすく、重度の症例は、『アブフラクション』と呼ばれています。
また、ブラッシングによる摩擦も生じやすい部位であるため、詰める材料は硬い材料が望ましいのですが、現在ではコンポジットレジンという歯より柔らかい樹脂で修復します。

この材料は白くて加工しやすく保険適応なので根面う蝕に使用しますが、耐摩耗性に劣るため強い歯ブラシで徐々に削れて薄くなって取れてしまいます。


さらに根面う蝕がひどくなると歯の神経まで達してしまうために、神経を抜いて歯の表面を全部削って最終的には歯の表面すべてを覆う被せものを作る必要があります。


次に3つ目、フッ化物の応用です。
う蝕病変が表層0.5mm未満にとどまる場合には、1100ppm以上のフッ化物配合歯磨剤の使用のみでも、再石灰化が生じる可能性があります。

このため、初期の活動性のう蝕病変の場合には、フッ化物配合歯磨剤の場合を励行したり、0.05%NaF配合洗口剤を使用することにより、切削治療を行わずに管理が可能になる場合があります。

全身状態が悪く治療に制限がある場合や、自力での外来受診に困難があるなどのために治療回数が十分に確保できないような場合には、活動性のう蝕の進行抑制を図るために、フッ化ジアンミン銀を塗布する方法もあります。(商品名として、サホライド、ビーブランドメディコデンタル)

銀イオンが歯質の有機質に作用し、フッ化物イオンが無機質に作用することにより、軟化象牙質の再石灰化、象牙細管の封鎖、抗菌性などの効果が期待されます。

小児歯科領域でも多用されている治療でありますが、この治療はう蝕病変を黒変させ審美性を損なうため、事前に患者さんや、御家族ならの了解を十分に得ておく必要があります。


根面う蝕は、歯ぎしりがある方にも発生します。

歯ぎしりは専用のマウスピースを用いることで防止することができます。

また、男性はブラッシング圧が強いため、歯茎が下がって柔らかい歯の根が削れてそこに歯垢が溜まって根面う蝕になります。

そのため、歯ブラシは優しくていねいにするようにしましょう。


歯科衛生士 大久保