入れ歯の種類

こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。
今日は 『入れ歯の種類』についてお話ししようと思います。
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入れ歯とは、歯がなくなってしまった場合に元の歯の代わりの機能を持たせた、『取り外し式の人工歯』です。
入れ歯には、部分的に歯がない場合に使う『部分入れ歯』と、歯が全部なくなってしまったときに使う『総入れ歯』 があります。
たまに患者さんで部分入れ歯のことを『ブリッジ』とおっしゃる方がいますが、これは誤りです。
ブリッジも歯が無くなったときに使いますが、こちらは無い部分の前後の歯を削ってつなげた『銀歯やセラミックのかぶせ物』のことで、接着剤で歯にくっつけるため取り外しはできません。
患者さんと話をしていて、「どうも話がかみ合わないな」と感じる事があり、よくよく聞いてみるとブリッジと部分入れ歯を勘違いしていたことがありました。
さて入れ歯の種類に戻ります。
入れ歯には、『部分入れ歯』『総入れ歯』がありますが、さらに保険適用かどうかや使用している材質でいろいろな種類があります。
特に部分入れ歯は構造が複雑で、残っている歯にかかるバネが金属製のものや目立たないもの、磁石を使用したものなど他人からわかりにくいものも開発されています。
保険適応の入れ歯は、何といっても安価で作れることが最大のメリットになります。
しかし保険適応には厳格なルールがあり、「バネが見える」「入れ歯が厚ぼったい」「温度が分からない」「噛む所が減ってしまう」などといった個々の事情を考慮することができません。
また、入れ歯を作製してから6か月間は作った医院はもちろん、他の医院に行っても入れ歯を新しく作ることはできません。
そこで、保険の入れ歯の問題点を改善した入れ歯が保険外ではいろいろあります。
金属床の入れ歯
 歯の内側の、外から見えにくいところにプラスチックより薄い金属を使った入れ歯です。
舌が触れるところが薄くなるので、口の中に空間ができて楽になります。
温度がすぐに伝わるので食事がおいしくなり、火傷などの危険性も減ります。また入れ歯が真っ二つに割れるといったリスクも少なくなります。
入れ歯用の金属の種類は、 『コバルトクロム合金』 や 『チタン合金』 になります。
コバルトクロム合金は昔から保険外の材料として使われています。
チタン合金も20年ぐらい前から使用されている金属で、コバルトクロムに比べてとても軽く、金属アレルギーのリスクも少なくなっています。
ただしチタン合金は加工がとても難しく、コバルトクロムを使用した入れ歯よりもやや高額となります。
弾力のある材質を使用した入れ歯
こちらはプラスチックの代わりに弾力性のある繊維素材をした入れ歯になります。
よく、 『ノンクラスプ』 や 『フレキシブル』 の入れ歯といわれています。
金属のバネの代わりに一体化したピンク色をした繊維素材を用いるため、つけていてもほとんど入れ歯とはわかりません。
この材料は入れ歯用として使われ始めたのが比較的新しく、様々な種類があります。
一番柔らかいのは、 『ポリアミド』 という材料です。痛みが出にくいのですが、修理がほぼできず、しっかりかむと曲がって噛みにくいことがあります。
次は、 『ポリエステル』 で、少し弾力があり、修理もお預かりになりますが可能です。
他には、 『ポリカーボネイト』 があります。よくスーツケースの素材として使用されています。
とても頑丈で修理もできますが、柔らかさはほとんどありません。
これら以外にも、磁石を使用したり、残っている歯にかぶせるものがついていたり、シリンダーのロック装置がついていたりと様々な種類があります。
しかしどの入れ歯を選んでも、一生ぴったりした入れ歯はありません。
それは口の中の顎の状態がどんどん変化していくからです。
お口の中の歯ぐきの厚みや顎の骨はどんどん変わっていきます。
しかし入れ歯は硬いので、数年すると合わなくなってがたがたになったり、歯ぐきが痛くなってしまいます。
そのため、入れ歯に特に問題がなくても、定期的に歯科医院でチェックしたり調整をすることも必要です。
もし合わない入れ歯を無理やり使用し続けていよいよ壊れてしまっても、新しい入れ歯はすぐにはできません。
何週間もかかるので、その間はとても困ることになります。
入れ歯は、『自分の体の一部』 となるわけですから安易に妥協せず、快適に人生を過ごせるような入れ歯を選ぶようにしましょう!