喫煙は歯周病を悪化させる!!
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。
今回は喫煙、タバコを吸うことがお口の健康にいかに悪影響を与えるのかを説明していきます。
今ではタバコが健康に良い、または影響がないと考えている人はほとんどいないでしょう。
歯科治療においても喫煙の有無はとても重要です。
重度の歯周病を罹患している方の喫煙率はとても高いです。
ではなぜタバコを吸うと歯周病になったり悪化するのでしょうか?
まずは歯周病について解説していきます。
1 歯周病とは?
歯周病とは歯垢・歯石の中の歯周病の原因菌によって歯のまわりの歯ぐきが腫れて、出血や痛みや膿が出て歯周ポケットが深くなり、最後には歯を支えている顎の骨、歯槽骨が溶けて歯が抜けてしまう病気です。
歯周病は歯を失う最大の原因で、50歳半ばより急速に広がっていきます。
歯周病の中期までは痛みを伴わないので自分が歯周病だとは気がつきにくく、50歳代半ばで痛くなって膿も出てぐらぐらし始めたときはすでに手遅れになっていて、もはや抜歯しか選択肢がないということになってしまいます。
この成人の80%が罹患しているといわれている歯周病ですが、実は喫煙率が大きく関係しています。
タバコの中に含まれているニコチンの血管収縮作用により、歯肉の隅々に酸素がいきわたらなくなり、免疫作用が大きく低下します。
すると細菌感染が起こりやすくなり歯周病になってしまうのです。
タバコを吸う人の歯周病罹患率は、非喫煙者の3倍です。
また、歯を失う確率も、タバコを吸わない人の2倍となっております。
2 喫煙と歯周病の関係
タバコを常用している人は、吸わない人に比べるとニコチンの血管収縮作用により血液の流れが悪くなります。
すると歯肉に栄養がいきわたらなくなります。歯周病菌と戦う白血球の数も減ってしまいます。
さらに、歯周病菌によってダメージを受けた歯肉と骨の修復が働かなくなります。
この悪循環によって歯周病菌がさらに繁殖します。
そして通常は歯ぐきが腫れると、出血して気が付くのですが、タバコを吸っているとニコチンの強力な血管収縮作用で出血が抑えられてしまいます。
そのためタバコを吸っていると、歯周病の初期から中期の段階では出血が抑えられてしまうため、自分が歯周病になっていると気が付かないのです。
歯周病の怖いところは、重症化していよいよ抜歯というところにならないと症状が出にくいところです。
つまり、歯茎がはれ上がり、ぐらぐらして物が噛めないというところになって、ようやく気が付いても遅いのです。
そして重度の歯周病の方の喫煙率はものすごく高いのです。
3 喫煙は万病のもと
昔は、タバコの害といえば肺がんで、しかも吸いすぎなければ大丈夫という認識でした。
タバコのパッケージには、『健康を損なう恐れがあるため、吸いすぎに注意しましょう』 といった、なんともあいまいな文章が側面にあるでした。
日本の政治家は異常に喫煙率が高く、厚生労働省の出す禁煙に関する法案をことごとく握りつぶしてきました。
しかし2020年東京オリンピックのおかげもあり、ようやく日本でも禁煙に関してかなり改善してきました。
それでもコンビニで手軽に買えたり、派手なポスターや雑誌の宣伝が認められていたり、基準を満たせばレストランでも喫煙可だったりまだまだ禁煙に関するルールは不十分ですが、数年前までに比べればだいぶましになりました。
ただし残念ながら今でもJT、日本たばこの最大の株主は日本政府です。ということは、、、完全禁煙の道は遠いのが現状です。
タバコがいかに心身ともに有害かということが分かってきたおかげで、年々喫煙率は下がっております。今では成人に占める喫煙率の割合は14%とのことです。
それでもまだ日本は喫煙率が高く、タバコのラベルにも注意書きが文章で書いてあるだけで、実際に喫煙者は見もしないでしょう。日本は残念ながらまだまだ喫煙大国なのです。
海外のタバコのラベルには、タバコのせいでできた腫瘍などのひどい写真が張り付けてあります。
その中には、重症の歯周病や舌癌、歯肉癌などの写真も数多く掲載されています。
このような写真に喫煙者の抑制効果はあまりないそうですが、若年者などの新規の喫煙者を増やさないためには効果があるそうです。
当院に通院中でまだ30代にも関わらず、かなり重症の歯周病の患者さんが何人かいらっしゃいます。そのような患者さんにタバコを吸うかお聞きすると、全員喫煙者でした。私がいかにタバコが歯周病を悪化させているのかを説明し禁煙をお勧めするのですが、皆さん苦笑いするだけです。これでは我々歯科医師と歯科衛生士が頑張って治療してもあまり歯周病は改善しません。毎月通院している方もいらっしゃいますが、なんとか現状維持です。それでも少しずつ歯周病は悪化していきます。
ちなみにコロナウイルスの感染は、歯周病と密接に関係していることが分かっています。
タバコを吸うことで歯周病が悪化して、それによって新型コロナウイルスにも感染しやすくなってしまうのです。
4 タバコを吸うのを今すぐやめよう
タバコはほんとに百害あって一利なしです。
タバコはその成分の二コチンに薬物依存性がありますが、覚せい剤と違って依存の欲求はたったの8時間で消えるといわれています。(残念ながら体内からタバコの成分が抜けるには10年以上かかるそうです。)
ですからタバコ依存から脱出することはだれでもできるのです。
タバコは嗜好品なので生きていくうえで必要性はまったくありません。
人類が発明した最悪の生産物は核兵器とタバコと言われています。
このような理由から、当院では健康を司る医療機関として、喫煙に強く反対します。
タバコを吸う方は今すぐ禁煙して、自分のため、家族や周りの人のために健康な生活を取り戻しましょう!