痛み止めの話
こんにちは、歯科医師の鈴木です。
今回は、痛み止めについてお話致します。
痛み止めは痛いと思ったとき、飲むお薬ですね。
今回は痛み止めはどうやって、痛みを取るのかをご説明していきたいと思います。
鎮痛剤(痛み止め)には、中に入ってる成分や、効く場所により大きく分けて4種類あります。
① 非ステロイド性抗炎症薬
② ステロイド性抗炎症薬
③ プロスタグランジン製剤
④ オピオイド
ちょっと難しいですよね。痛みといっても、色々病気に使うお薬が日本にも沢山あります。
この中でも、歯医者さんで使う薬は①非ステロイド性抗炎症薬ですので、この種類のお薬のお話を致します。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
エネセイドという薬のお話です。このエネセイドは、下の英語表記を略しています。
Nonsteroid anti-inflammatory drugs:NSAID(以下NSAIDsと書きます。)s
NSAIDsは、抗炎症作用つまりは、痛いと思ったところの炎症を鎮める作用、鎮痛作用、痛みを取る作用、解熱作用、身体全体の熱を下がる作用など様々に効く特徴を持ち、
リウマチ、頭痛、歯痛、外傷、術後痛、発熱に対し、日常の医療で頻繁に用いられています。
しかし、ここであえてお話ししますが、痛いからといって、お医者様に言われた量より多く飲んでも、天井効果といって、痛みを鎮めるには天井がある、つまりは、沢山飲んでもそれ以上の痛み止めの力は得られないと報告されています。
ですから、指示通りの服用をお願い致します。
痛みをどうやってNSAIDsは止めているの?
痛みを感じると(歯、歯茎、頭痛等)その部分の神経細胞自身を作っている膜、身体でいうと皮膚の事ですね、そこからアラキドン酸という痛みを脳にまで感じさせる物質がでます。
このアラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼ(COX)やリポキシゲナーゼという身体の分解作用により、さらに、痛みの原因物質である、プロスタグランジンを作ります。このプロスタグランジンこそが、痛みを伝えるなので物質なのです。
NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼを止めて、痛みの物質のプロスタグランジンを作らないようにして、痛み止めの力を発揮します。
以下に表で示します。
上の図のように、しかし、NSAIDsの問題点として、シクロオキシゲナーゼ(COX)は、2種類COX1とCOX2があり、COX2のみがで腫れたり炎症に関わるもので、COX1のプロスタグランジンは、悪いことばかりでなくて、、体のを保つ健康を保つのに役立っているのです。
以下に図を示しますが、よく痛み止めを飲んで胃が痛くなったご経験がある方もいらっしゃると思いますが、NSAIDsの作用がCOX1にも影響しているため、胃粘膜の保護を阻害しているからです。
胃が弱い方には、痛み止めと一緒に胃腸薬も処方いたしますので、お申し出ください。
最近では、このCOX2のみに作用する、
セレコックスという痛み止めも開発されています。
代表的なお薬のロキソニンは、COX1,2両方に働いてしまいますが、新しい薬セレコックスは炎症を抑えたいところだけに作用します。
NSAIDsの種類
当院でよく処方いたしますのは、ボルタレンとロキソニンですが、これだけ様々な薬がありますので、患者様のお身体に合わせて考えてまいります。
このほか、解熱鎮痛剤として、アセトアミノフェン(商品名カロナール)があります。アセトアミノフェンは、妊婦の方、喘息のある方などにお飲みになられても安全な薬です。
最後に、このアセトアミノフェンの作用機序についてご説明致します。
上の図のように、アセトアミノフェンは、脳の視床下部に作用して解熱作用、鎮痛作用を発揮します。
直接脳に作用いたしますので、局所の痛みが起こっている場所(歯、歯茎、等)の炎症に対しては、効きませんが、COX阻害作用が弱いので、妊婦の方や、喘息のある方には、安全な痛み止めになります。
今回は痛み止めについてお話しました。研究がすすみ、痛み止めも安全に使用できるので、当院では、患者様の全身のお身体の状態を考えて、お薬の相談も受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。
鈴木孝美