フッ素の効果
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。
今回は『フッ素の効果』について説明いたします。
皆さん「フッ素」という言葉は聞いたことがありますでしょうか?
よく「子供の歯にフッ素を塗りましょう」とか「フッ素入りの歯磨き粉が虫歯予防に効果的」などという言葉を耳にした人もいるのではないでしょうか?
フッ素はお口の健康のためにとてもいいものです。
フッ素を取り込むと、歯の表面にフッ素と結合した層ができるので、虫歯になりにくくなります。
フッ素そのものを使用するだけでなく歯磨き粉に入っていたり食べ物に入っていたり、フッ素は私たちの日常生活でかなり身近な存在です。
それではフッ素とは何なのか、どんな効果があるのか、副作用や注意点などについて説明いたします。
・フッ素とは
フッ素とは元素の一つで、他のものととても反応しやすい性質を持っています。
またこのフッ素とほかの元素と結びついた「フッ化物」は自然界に広く存在しています。
自然の海中や地中にもフッ素は含まれており、決して人工的に作られたものではありません。
また普段私たちが食べている野菜・魚介類・お茶にも含まれています。
ですからこのフッ素は天然に存在する物質であり適切に摂取する分にはまったく問題ないといえます。
・フッ素の虫歯予防効果は?
フッ素がフッ化物として虫歯予防になることが20世紀初頭に発見されました。
今では世界保健機関(World Health Organization, WHO)が、フッ素は虫歯予防効果と歯に塗布しても安全だということを承認しています。
では具体的にフッ素の予防効果について説明します。
1 フッ素が虫歯の原因菌に酸を出させにくくする
2 歯の表面が、歯の成分のハイドロキシアパタイトから虫歯菌に強いフルオロアパタイトにかわる
3 目に見えないほどの初期の虫歯を再石灰化して修復してくれる
歯がまだ軟らかい子供の歯にフッ素を塗ることは、将来にわたっていい歯を維持する上でとても有効だといえます。
・フッ素の塗布方法
フッ素の塗布方法はいくつかありますが、基本的に効果に違いはあまりありません。
1 フッ素の薬液やゼリーを塗布する
2 フッ素のしみこませた綿が入ったトレーを噛んでもらう
フッ素を塗布する前は口の中を全体にブラッシングしてきれいにします。
また塗布後30分間は飲食しないようにします。
フッ素は高濃度の塗ってもあまり効果の違いはありません。それより定期的にこまめに塗るほうが虫歯の予防効果は大きいです。
・フッ素は体に悪い?
虫歯予防にとても役立つフッ素ですが、もちろん多く塗布したからと言って虫歯が治るわけではありません。
また虫歯の予防効果が何十倍にも高まるわけではありません。
そしてフッ素を過剰に大量に飲み込めば、悪影響になります。
例えば、胃腸障害(下痢、嘔吐)、呼吸困難などです。
しかしこれらの中毒症状が発生するには大量のフッ素を取った場合ですが、成人のフッ素危険量は5gほどです。
歯磨き粉に含まれているフッ素の量は、一本につき120mgほどですから、一度に歯磨き粉を40本以上飲み込まない限り問題ないという計算になります。
また子供が継続的にフッ素を取り込んだ場合に永久歯が縞模様になってしまうことがありますが、これは外国のようにフッ素が水道水に含まれている場合です。
日本にいる限り水道水にフッ素は入っていませんので、これは気にする必要はありません。
フッ素はこのように、虫歯予防にとっても役に立つものです。
子供は歯が柔らかく虫歯になりやすいので、定期的にフッ素を塗ることをお勧めいたします。
もちろん大人も虫歯予防効果がありますので、虫歯になりやすい方は検診のたびに歯石除去とともにフッ素塗布を併用することをお勧めします。