知覚過敏について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。
皆さん冷たいものや飲み物を飲んだ時、歯がキーンとしみることはありますか?
冬になると空気を吸っただけでしみることもあります。
また夏になるとかき氷なとやアイスでしみたり歯を磨いた時にもしみることもあります。
このようなしみる症状を、『知覚過敏』といいます。
知覚過敏はとても身近な症状で、日本人の4人に1人が歯が染みる症状を自覚してるそうです。
1 知覚過敏とは
『知覚過敏』とは歯の中にある神経『歯髄』に様々な刺激が伝わることで、痛みとして感じる状態のことを言います。
歯は固いように見えますが、実は三層構造をしており中は刺激が伝わりやすくなっています。
歯の表面をエナメル質といいます。エナメル質は固い無機質でできており、刺激は中まであまり伝わりません。
エナメル質の内側にある組織を象牙質といいます。この象牙質はエナメル質よりも柔らかく、歯の中心にある神経まで隙間があり刺激が伝わります。これが脳で痛みとして感じるのです。
2 知覚過敏の原因は?
虫歯により象牙質が露出した場合、虫歯の痛みではなく知覚過敏として痛む場合があります。
それ以外には、歯周病で歯の根が露出した場合も、知覚過敏が生じやすいです。
また、歯ブラシが強かったり、強い研磨剤の入った歯磨き粉を使用した場合も歯が削れて知覚過敏を生じます。
それ以外にも、歯ぎしり・食いしばりなどでも知覚過敏になる場合があります。寝ているときの歯ぎしり・食いしばりは本人も気づかず、歯が揺さぶられて歯の周りの組織がダメージを受け歯の根が出てきてしみてきます。
3 治療方法は?
一口に知覚過敏といっても症状や程度に幅があるため、それぞれの症状に応じて処置を行います。
1 知覚過敏用の歯磨き粉で磨く まずは専用の歯磨き粉を使い丁寧に磨きます。薬局で売っているものや歯科医院でのみ販売しているものもあります。知覚過敏用の歯磨き粉を使用して歯を磨くとしみるのが収まりますが、使用をやめるとまたしみてくることがあります。あまり効果がない場合は、歯科医院で診てもらい、適切な治療をしてもらいましょう。
2 知覚過敏を抑えるコーティング剤を塗る 一度で効果が出ないときは何回か塗ります。歯ブラシが強い場合はすぐなくなってしまうため、ほかの方法を行います。また、歯ぎしりで知覚過敏になる場合は塗ったときはしみなくなってもまたすぐしみるようになります。
3 詰め物を埋める プラスチックの詰め物で埋めます。これは削れいてる部分が相当大きい場合です。少しの場合は埋めることができません。埋めてもすぐに取れてしまうからです。取れないようにするには、少し削らなければなりませんがそうすると余計にしみてくる場合がありますので削って埋める治療はしません。
4 歯の神経を抜く 最終手段になります。生活がままならない場合に限ります。歯の神経を抜けばしみなくなりますが歯がもろくなります。また隙間から虫歯が発生したり、神経を取る際に雑菌を入れてしまうと神経を取ってかぶせた後で痛みや腫れたりする場合があります。そのため歯の神経を抜くのは、どうしてもしみて激痛で食事が喉を通らないとか、しみて仕事や勉強に集中できないなどで患者さまがどうしても神経を取りたいとリクエストした場合のみ行います。
なお、歯ぎしりが原因の場合はさまざまな方法を試みても治らない場合が多いです。この場合は歯ぎしり防止のマウスピースを作成して様子を見ます。作成方法ですが、上顎の歯型を取ります。模型を作り、この模型にシートを真空にして圧接して歯にぴったりフィットしたマウスピースが出来上がります。
知覚過敏は放っておくと神経を痛めて死んでしまうこともあります。気になるようなら歯科医院を受診して原因を見つけて適切な処置をしてもらいましょう。